概要
製造工場や物流倉庫では、日々取り扱う物量が一定とは限りません。曜日や受注状況、入荷するトラックの台数などによって物量が変化するため、その日の業務量に合わせてフォークリフトやAGVなどのマテハン機器を適切に配置する必要があります。例えば、通常日はフォークリフト2台で対応できていても、入荷量が多い日に同じ台数で運用すると、荷下ろしや入庫が追いつかず、トラックの待機や倉庫内の滞留につながる可能性があります。一方で、繁忙日に備えて常に多くのフォークリフトを配置すると、物量の少ない日には稼働率が低下し、設備や人員を有効に活用できません。そのため、「今日の物量を処理するためには、フォークリフトが何台必要なのか」を事前に把握することが重要です。
しかし、実際の倉庫では入荷、入庫、出庫、仕分けなど複数の工程が連動しており、フォークリフトの搬送時間や待ち時間も発生します。そのため、単純に「1台で1時間に何パレット運べるか」という計算だけで必要台数を決めることは困難です。
今回は、庫内物流をフォークリフトで行う倉庫をサンプルとして、assimeeのシナリオ比較機能を利用し、1日の物量を処理するために必要なフォークリフト台数を検討する方法を紹介します。
モデル
今回用意したモデルは、トラックから入荷した荷物を自動倉庫へ入庫し、再び出庫して仕分け・発送する物流倉庫です。

大まかな物流の流れは、トラックから荷下ろし → 自動倉庫へ入庫 → 自動倉庫から出庫 → ソーターで仕分け → 行先別に発送となっています。トラックで到着した荷物はパレット単位で荷下ろしされ、フォークリフトによって自動倉庫まで搬送されます。自動倉庫では一時的に商品を保管します。その後、出荷する数量に応じて商品を出庫し、再びフォークリフトでソーターまで搬送します。ソーターでは商品を行先ごとに仕分け、最終的にそれぞれの出荷先へ発送します。
一方通行のフォークリフト搬送
今回のモデルで重要になるのが、フォークリフトの運用方法です。フォークリフトは、
- トラックから自動倉庫までの搬送
- 自動倉庫からソーターまでの搬送
を担当します。今回は、それぞれのフォークリフトは一方通行型の搬送を想定しています。つまり、上流側で入庫したフォークリフトは下流側での出荷も担当します。上流側の入庫だけを増やすようなことはできない設定です。よって入庫が進まなければ、その分だけ出庫できる商品も少なくなります。
今回処理する物量
今回は、1日の入荷量を以下のように設定します。
- トラック:40台
- パレット:160パレット
- 商品:3,200個
つまり、1台のトラックには平均4パレット、1パレットには20個の商品が積載されている想定です。この3,200個の商品を、1営業日に相当する8時間以内に処理することを目標とします。ここで検討したいのが、「この物量を8時間で処理するためには、フォークリフトを何台配置すればよいのか」という問題です。
まずフォークリフト1台でシミュレーションする
最初に、基準となる条件としてフォークリフト1台でシミュレーションを行います。シミュレーション結果は以下のようになりました。


結果を確認すると、8時間の操業時間内では予定していた物量をすべて処理できていません。在庫量を確認すると、フォークリフトによる搬送待ちが発生し、入荷置き場でで荷物が滞留していることが分かります。つまり、今回の3,200個という物量に対して、フォークリフト1台では搬送能力が不足しています。
シナリオ比較で必要台数を調べる
そこで次に、assimeeのシナリオ比較機能を利用します。
フォークリフトの台数を段階的に増やし、それぞれ同じ条件で8時間のシミュレーションを行います。
例えば、
- 1台
- 2台
- 3台
- 4台
- 5台
といった複数のシナリオを作成します。比較する主な指標は、8時間後の出荷数です。単純に最も出荷数の多い条件を見るだけでなく、何台目から出荷量の増加が小さくなるのかを確認することも重要です。
シナリオ比較の結果
シナリオ比較の結果は以下のようになりました。

フォークリフトを増やすにつれて搬送能力が向上し、8時間以内に処理できる商品数も増えていきます。一方、一定台数を超えるとフォークリフトを追加しても出荷数がほとんど増えなくなることがあります。これは、フォークリフト以外の工程が新たなボトルネックになるためです。例えば、
- 自動倉庫の入出庫能力
- ソーターの処理能力
- 荷下ろし作業
- 出荷工程
などの能力が上限に達すれば、それ以上フォークリフトを増やしても倉庫全体の処理能力は向上しません。
今回のケースではフォークリフトが一方通行になっている部分がありますが、このようなルートの制約もボトルネックとなります。
シミュレーションをすることで、以上のボトルネック要因を加味した上で「8時間以内に3,200個を処理でき、なおかつ余分なフォークリフトを配置しない最小台数」は8台とわかります。
フォークリフトは多ければ多いほど良いわけではない
フォークリフトの台数が増えれば、基本的には搬送能力も高くなります。しかし、必要以上に台数を増やすと、
- 待機するフォークリフトが増える
- 稼働率が低下する
- 作業員が余る
- 通路が混雑する
- 運用コストが増加する
といった問題が発生します。したがって重要なのは、最大の生産量を出せる台数ではなく、必要な物量を処理できる最小限の台数を見つけることです。特に日々の物量が変化する倉庫では、この考え方が重要になります。
日々の物量に合わせて配置を変更する
今日の入荷量はトラック40台、160パレット、3,200個でした。しかし、翌日はトラック30台、その次の日は50台というように、実際の物流現場では日々の物量が変化します。
その場合も、入荷予定量をassimeeへ入力して同様のシナリオ比較を行えば、
- 今日は2台
- 明日は3台
- 繁忙日は4台
というように、その日の業務量に合わせた配置を検討できます。これにより、フォークリフトだけでなく、フォークリフトを運転する作業員についても、より合理的な勤務計画を立てることができます。
まとめ
今回の記事では、トラックから入荷した商品を自動倉庫へ搬送し、さらに自動倉庫からソーターへ搬送する物流倉庫をモデル化しました。
1日の入荷量を、
- トラック40台=160パレット=荷物3,200個
と設定し、この物量を8時間以内に処理するために必要なフォークリフト台数をシミュレーションによって検討しました。
今回のようにassimeeのシナリオ比較機能を活用することで、フォークリフトの台数を変えた複数の条件を一括で比較し、
- 必要な物量を処理できるか
- どこに搬送待ちが発生しているか
- フォークリフトを増やす効果がどこで頭打ちになるか
- 何台を配置するのが最も効率的か
を定量的に確認することができます。
実際の物流倉庫では、物量だけでなく搬送距離や通路幅、設備能力、作業員数など、さまざまな条件が搬送能力に影響します。assimeeを使ってこれらの条件をモデル化することで、経験や勘だけに頼るのではなく、その日の物量に合わせて必要なマテハン機器の台数を事前に検討し、効率的な庫内物流計画を立てることが可能です。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。