物流

製品を混載搬送するAGVの最適な搬送条件を検討する

概要

工場内物流や庫内物流では、複数の場所から出荷される製品や部品を1台の搬送車両にまとめて積み込み、混載して運搬することがあります。例えば、複数の生産ラインから完成品を回収する場合、それぞれのラインに対して個別にAGVを走行させるのではなく、1台のAGVが複数の搬出場所を順番に巡回しながら荷物を回収する方法があります。このような運用では、AGVの積載能力を有効に活用できる一方で、

  • どの順番で搬出場所を巡るか
  • どの程度積載したら出荷場所へ向かうか
  • ある搬出場所だけで積載量が上限に達した場合はどうするか
  • 製品ごとの生産タイミングがずれた場合に待つべきか、そのまま出発するべきか

など、さまざまな条件を考える必要があります。特に多品種を生産する工場では、各ラインの生産量や生産タイミングが異なるため、単純な計算だけで効率的なAGVの運行計画を立てることは困難です。
そこで今回はassimeeを使って、1台のAGVが複数の搬出場所を巡回し、異なる製品を混載しながら満載になるまで回収する搬送方式を再現します。作成したモデルのシミュレーションを元に混載を含むAGVの運行状況を確認し、より効率的な搬送計画を検討する方法を解説します。

モデルと設定

今回用意したモデルは、3種類の製品を生産する工場です。モデルは以下の通りです。

工場内には、

  • 製品Aの生産ライン
  • 製品Bの生産ライン
  • 製品Cの生産ライン

があり、それぞれ異なる場所で製品が完成します。完成した製品は各ラインの搬出場所に一時的に置かれ、AGVが順番に巡回して回収します。今回はAGV1台が製品Aー>製品Bー>製品Cの順番に回収します。AGVは製品を積み込んだ後、次の搬出場所へ移動します。そして積載量が上限に達した時点で出荷場所へ向かい、積載している製品をまとめて荷下ろしします。荷下ろしが完了すると、AGVは再び製品の回収に向かいます。

AGVの積載条件

今回使用するAGVは、最大で30個の製品を積載できます。一方、各製品はそれぞれ1ロット40個単位で生産されます。そのため、3種類の製品を1ロットずつ生産すると、

  • 製品A:40個
  • 製品B:40個
  • 製品C:40個

となり、合計120個の製品が生産されます。

AGV1回あたりの最大積載量は30個であるため、1ロット分の製品を一度に運び切ることはできません。

また、AGVは1つの搬出場所だけを往復するのではなく、複数の搬出場所を巡回します。

そのため、例えば、

  • 製品Aを10個
  • 製品Bを15個
  • 製品Cを5個

というように、異なる製品が同じAGVへ積載される場合が必ず発生します。このような混載搬送が自然に発生することが今回のモデルのポイントです。

巡回搬送の仕組み

AGVは、あらかじめ設定された順序に従って3箇所の搬出場所を巡ります。それぞれの場所で積載可能な製品があれば、AGVの空き容量に応じて積み込みます。
例えば、最初の搬出場所で20個積み込んだ場合、AGVの残り積載量は10個です。次の搬出場所に製品が20個あったとしても、積載できるのは残り容量である10個までとなります。この時点でAGVは30個の満載状態になるため、その後の搬出場所には立ち寄らず、出荷場所へ向かう運用となります。
一方、最初の搬出場所に0個、次の搬出場所には10個しか製品がなければ、最初の搬出場所はスルーし、次の搬出場所で10個を積み込みます。さらに次の搬出場所へ向かい、残りの積載能力を使って製品を回収します。
このように、「現在の積載量」と「各搬出場所にある製品数」によってAGVの動きが変化します。

シミュレーション結果

シミュレーション結果は以下のようになりました。

結果を確認すると、ステータス推移からAGVが3箇所の搬出場所を順番に巡回し、それぞれの場所で生産された製品を積み込んでいることが確認できます。また、1つの搬出場所だけで積載量が30個に達しない場合には、次の搬出場所へ移動して別の製品を積み込んでいます。その結果、異なる製品を積載した状態で出荷場所まで搬送する混載運用が再現され、また、積み残しもないことが確認できます。

この結果から、

  • 各製品の生産タイミング
  • 搬出場所の在庫量
  • AGVの空き容量

に応じて、AGVの積載内容や巡回タイミングが変化していることが分かります。

混載搬送を検証するメリット

今回のような混載搬送では、単純にAGVの積載量だけを考えればよいわけではありません。例えば、AGVをできるだけ満載にしようとして搬出場所で長時間待機すると、積載率は高くなる一方で搬送回数が減少し、完成品が工場内に滞留する可能性があります。反対に、積載量が少ない状態でもすぐに出発するようにすると、製品の滞留時間は短縮できますが、AGVの走行回数が増加します。このように積載率と搬送頻度にはトレードオフが存在します。
そのため、実際のAGV運行計画を検討する場合には、

  • 最大積載量
  • 最低積載量
  • 巡回ルート
  • 搬出場所での待機時間
  • 各製品の生産量
  • AGVの台数

などを総合的に検討する必要があります。

assimeeでこれらの条件を変更してシミュレーションすることで、実際の設備を動かすことなく、運行条件による違いを比較できます。

発展的な検証案

今回のモデルでは、AGVが満載になるまで搬出場所を巡回する比較的単純なルールを採用しました。このモデルをベースに条件を追加することで、さらに現場に近い運用を検証できます。
例えば、

  • 30個満載になるまで出荷しない
  • 20個以上積載したら出荷を許可する
  • 一定時間待っても満載にならなければ出荷する
  • 製品Aを優先して積載する
  • 特急品があれば他の製品より先に回収する
  • AGVを複数台配置する

といった条件です。これらの条件をシナリオ比較機能と組み合わせれば、「どの運行ルールが最も効率よく製品を搬送できるのか」を定量的に比較することもできます。

まとめ

今回の記事では、3種類の製品を生産する工場を対象として、AGVが複数の搬出場所を巡回し、異なる製品を混載して出荷する搬送方式を再現しました。AGVの積載量を30個、各製品の生産量を1ロット40個とすることで、複数の搬出場所から製品を回収しながら積載する運用をモデル化しています。
このようにassimeeを活用することで、

  • 複数の搬出場所を経由する巡回ルート
  • 異なる製品の混載
  • 最大積載量による出発条件
  • 製品ごとの生産タイミング

などを考慮したAGV搬送を再現できます。さらに、積載量や巡回順序、出発条件などを変更して比較することで、現場に適したAGVの運行計画を事前に検討することも可能です。実際の工場内物流では、AGVの台数だけでなく、「どのようなルールで走らせるか」も搬送効率を左右する重要な要素です。assimeeを使って複雑な搬送条件をモデル化することで、実際の設備を変更する前に運行方法を検証し、より効率的な物流計画につなげることができます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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