物流

ピッキング作業と庫内搬送の干渉を可視化し作業効率を改善する

概要

物流倉庫では、商品の出荷に向けて、作業員が保管棚から必要な商品を取り出すピッキング作業が日常的に行われています。ピッキング作業の効率を高めるためには、商品の配置や作業員の移動距離、ピッキングに要する時間など、さまざまな条件を考慮する必要があります。その中でも、見落とされがちなのが搬送ルートの交差によって発生する待ち時間です。
例えば、ピッキング作業員が商品を集めて出荷場所へ戻ろうとした際に、別の作業員がカゴ車を移動させているため、通路を通過できない場合があります。また、フォークリフトやAGVなどの搬送機器が同じ通路を使用する場合には、安全確保のために一方の通行を制限する必要が生じることもあります。このような状況では、ピッキング作業そのものが終了していても、搬送ルートが空くまで作業員が待機しなければなりません。一度の待ち時間は短くても、繰り返し発生すると作業員の稼働率が低下し、倉庫全体の出荷能力に影響する可能性があります。

そこで今回の記事では、assimeeを使って、カゴ車の移動とピッキング作業員の搬送ルートが交差する物流倉庫をモデル化します。特に、カゴ車の返却作業によって交差点が一時的に使用できなくなる状況を再現し、作業員の待ち時間や工程の稼働状況をシミュレーションで確認する方法について解説します。

モデル

今回用意したモデルは、下図のようになります。

今回のモデルでは、物流倉庫で行われるピッキング作業と、使用したカゴ車を元の場所へ戻す返却作業を再現しています。ピッキング作業員は、商品が保管されている棚まで移動し、必要な商品をピッキングした後、出荷場所へ戻ります。一方、商品を運搬するために使用したカゴ車は、荷下ろし後に再び所定の場所へ戻されます。今回のモデルの特徴は、ピッキング作業員の帰路とカゴ車の返却ルートが交差している点です。

ピッキング作業と移動作業の分離

今回のモデルでは、ピッキング作業を次の2つの工程に分けて設定しています。

  1. ピッキング場所までの移動
  2. 商品のピッキング作業

このように移動と作業を分離することで、ピッキングそのものに要する時間と、移動や待機に要する時間を区別して確認できるようにしています。これにより、搬送待ちでピッキング作業が止まるようなことは避けられます。

交差点における通行制御

今回のモデルでは、ピッキング作業員の移動ルートとカゴ車の返却ルートが交差する場所を、同時に通行できない区間として設定します。カゴ車の返却作業が始まると、交差点は一時的に使用できない状態となり、その間はピッキング作業員が通過できないようにします。一方、カゴ車の返却作業が終了すると、交差点が再び使用可能となり、待機していた作業員が移動を再開します。
この仕組みを再現するために、assimeeの情報機能を活用します。具体的には、カゴ車の返却作業の開始と終了を情報として送信し、その情報に応じてピッキング作業員の移動を制御します。

これにより、次のような動作を再現できます。

  • カゴ車の返却作業が始まると、交差点への進入を制限する
  • 返却作業中に出荷場所へ移動する作業員は、交差点の手前で待機する
  • カゴ車の返却作業が終了すると、通行制限を解除する
  • 待機していた作業員が移動を再開する

このように、作業そのものの処理時間だけでなく、ほかの作業との干渉によって発生する待ち時間もモデルに反映しています。

シミュレーション結果

モデルの設定が完了したら、シミュレーションを実行して動作を確認します。今回のモデルでは、ピッキング作業員の移動とカゴ車の返却作業が、設定した通行条件に従って動作しているかを確認します。シミュレーション時間は480分、サンプリング時間は60分とします。

ステータス推移による待ち時間の確認

次に、各工程のステータス推移を確認してみましょう。

今回のモデルでは、カゴ車の返却作業が行われている間、交差点を使用するピッキング作業員の移動工程に待機時間が発生することを想定しています。そのため、ステータス推移では、カゴ車の返却作業が稼働している時間帯と、ピッキング作業員の移動が待機している時間帯を比較することが重要です。

assimeeの結果を元に分析を行なったのが次の図です。この図では、カゴ車の返却作業によってピッキング作業Cの移動に待ち時間が生じており、設定した交差点の通行制御が機能していることを確認できます。また、カゴ車の返却作業が終了した後に、ピッキング作業員の移動が再開されているかも確認できます。このように、複数の工程のステータス推移を比較することで、どの作業が原因となって待ち時間が発生しているのかを把握できます。

搬送ルートの干渉が作業効率に与える影響

実際の物流倉庫では、ピッキング作業員が待機している時間も人件費が発生するため、こうした待ち時間をできるだけ短縮することが重要です。
例えば、ピッキング作業員の移動時間やピッキング時間だけを使って出荷能力を計算した場合、今回のような搬送ルートの干渉による待ち時間は考慮されません。その結果、実際の出荷量が計画を下回る可能性があります。今回のように搬送ルートの交差をモデル化しておけば、待ち時間を含めた稼働状況を確認できるため、より現場に即した出荷能力の見積もりが可能となります。さらに、カゴ車の返却タイミングや移動時間を変更することで、待ち時間がどの程度変化するかを比較することもできます。

まとめ

今回の記事では、ピッキング作業員の移動ルートとカゴ車の返却ルートが交差する物流倉庫をassimeeでモデル化し、搬送ルートの干渉によって発生する待ち時間を再現する方法について解説しました。物流倉庫では、作業そのものの時間だけでなく、搬送ルートの交差やほかの搬送機器との干渉によって、作業員が待機しなければならない場合があります。assimeeでは、情報機能を活用することで、今回のように特定の作業が行われている間だけ別の工程を停止させるといった条件を設定することが可能です。
今回は使用していませんが、シナリオ比較機能と組み合わせることで、搬送ルートや作業時間、カゴ車の運用条件などを変更し、それぞれの条件が出荷量や待ち時間に与える影響を比較することもできます。例えば、カゴ車の返却時間を変更した場合や、交差点を通過する作業の優先順位を変更した場合など、さまざまな改善案を検証できます。

このようにassimeeを活用することで、実際の現場で発生する複雑な搬送条件をモデル化し、作業員の待ち時間や搬送効率を考慮した物流計画の検討が可能となります。

assimeeでは、実際の稼働条件に合わせてプロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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