概要
製造現場では、生産計画や設備のメンテナンス、人員配置などの都合によって、曜日ごとに生産ラインの稼働時間が異なることがあります。
例えば、月曜日と火曜日は2直体制で稼働していても、水曜日は設備のメンテナンスを行うため、午前中だけ稼働するようなケースです。また、同じ工場内でも、製造する製品や設備の状況によって、ラインごとに稼働日や勤務時間が異なることも珍しくありません。このような現場で生産計画を立てる場合、単純に1日の生産能力を計算するだけでは、1週間の生産量を正確に見積もることは困難です。特に、複数のラインが異なるシフトで稼働する場合には、以下のような条件を考慮する必要があります。
- 曜日ごとの稼働時間の違い
- メンテナンスによる設備の停止
こうした条件を考慮した上で生産計画を立てるためには、実際の勤務カレンダーに合わせてラインの動作を再現することが有効です。
assimeeの実時間モードでは、日付や曜日、稼働時間、休憩時間などを細かく設定し、実際の操業スケジュールに基づいたシミュレーションを行うことができます。
今回の記事では、曜日ごとに異なるシフトで稼働する3つの生産ラインをモデル化し、1週間の稼働状況を再現する方法について解説します。
モデル
今回用意したモデルは、3つの生産ラインを持つ工場です。それぞれのラインでは異なる製品を生産しており、部品の入荷から加工、出荷までの工程が用意されています。今回のモデルで重要なのは、3つのラインが同じ勤務体系ではなく、曜日ごとに異なるシフトで稼働していることです。

ラインごとのシフト設定
各ラインのシフトは以下のように設定します。
| 生産ライン | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラインA | 2直 | 2直 | 1直 | 休止 | 休止 |
| ラインB | 休止 | 2直 | 1直 | 2直 | 休止 |
| ラインC | 休止 | 休止 | 1直 | 2直 | 2直 |
※2直は2つの勤務時間帯(昼番と夜番)で稼働、1直は1つの勤務時間帯(昼番)のみ稼働する設定です。具体的な勤務開始・終了時刻は、モデルで設定したシフトに従います。
このように、同じ工場内でもラインごとに稼働する曜日や時間帯が異なっています。例えば、月曜日はラインAだけが稼働していますが、火曜日にはラインAとラインBが稼働します。水曜日は3つのラインすべてが稼働するものの、メンテナンスなどのために1直のみの運用となります。木曜日はラインBとラインC、金曜日はラインCだけが稼働します。assimeeの実時間モードでチャートを作成すると次の図のようになります。

このような条件の工場で行われる曜日別の稼働計画を再現します。
部品の入荷と生産ロットの制御
今回のモデルでは、出荷が完了すると次のロットの生産が開始される仕組みを設定しています。つまり、部品が供給されたからといって、すべてのロットが連続して生産されるわけではありません。出荷が完了したことを確認してから、次のロット用の部品が入荷し、生産が再開します。
このような制御には、assimeeの情報機能を活用します。出荷工程が完了した際に情報を発信し、その情報を次ロットの生産開始条件として利用します。これにより、出荷完了と次ロットの生産開始を連動させることができます。また、出荷が完了してもラインが非稼働の時間帯であれば、次の稼働時間になるまで生産は開始されません。
このように、稼働スケジュールと生産開始条件を組み合わせることで、より現実に近い生産計画を再現できます。
シミュレーション結果
今回は、月曜日から金曜日までの1週間のシフトを対象としてシミュレーションを実行します。実時間モードを利用し、各ラインに設定した曜日別のシフトに従って生産を行います。
シミュレーション結果は以下のようになりました。


ラインごとの生産状況
シミュレーション結果(ステータス推移)を確認すると、それぞれのラインが設定された曜日と時間帯に従って稼働していることが分かります。
- ラインAでは、月曜日と火曜日に2直、水曜日に1直の稼働が行われています。
- ラインBでは、火曜日と木曜日に2直、水曜日に1直の稼働が行われています。
- ラインCでは、木曜日と金曜日に2直、水曜日に1直の稼働が行われています。
また、各ラインが非稼働となる曜日には、生産が行われていないことも確認できます。この結果から、実時間モードで設定した曜日別のシフトが、シミュレーションへ正しく反映されていることが分かります。
出荷と次ロットの生産開始
今回のモデルでは、出荷が完了したタイミングで次ロットの生産を開始するように設定しています。そのため、出荷工程と次ロットの生産開始のタイミングをステータス推移で確認することで、情報による制御が正しく動作しているかを検証できます。また、出荷完了のタイミングがシフト終了間際だった場合には、次のロットの生産開始が翌稼働日へ持ち越されることも考えられます。こうした動作を確認することで、単純な生産能力の計算だけでは把握しにくい、シフトとロット生産の関係を検証できます。
まとめ
今回の記事では、曜日ごとに異なるシフトで稼働する3つの生産ラインをassimeeで再現しました。ラインA、B、Cにそれぞれ異なる稼働日と勤務時間を設定し、1週間のシミュレーションを実行することで、設定したシフトに従って各ラインが稼働することを確認しました。また、出荷完了を条件とした次ロットの生産開始など、実際の工場で行われる運用ルールもモデルに組み込んでいます。
今回のように、ラインごとに稼働日や勤務時間が異なる場合、1日の生産能力を単純に合計するだけでは、1週間の生産量を正確に見積もることは困難です。
特に、以下のような条件が重なる場合にシフト案や改善案を検討するには、シミュレーションによる検証が有効です。
- 特定の曜日だけ設備を停止する
- メンテナンスのために稼働時間を短縮する
- 設備ごとに稼働時間を調整して生産を調整する
例えば、あるラインの水曜日の稼働時間を1直から2直へ変更した場合、生産量がどの程度増加するのかを確認できます。また、メンテナンスを水曜日から別の曜日へ移動した場合に、出荷数や仕掛品の滞留がどのように変化するのかを検証することもできます。このように、実時間モードを使って現場の稼働スケジュールを再現することで、実際の操業条件に基づいた生産計画を検討できます。
assimeeでは、実際の稼働条件に合わせてプロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。