概要
生産ラインにはさまざまな条件が存在します。例えば、
- 工程ごとの処理時間
- 設備故障の発生頻度
- 部品交換のタイミング
- 作業者の人数
- 搬送能力
などです。現場ではこれらの条件を考慮しながら生産計画を立てる必要がありますが、条件が複雑になるほど、「どこを改善すれば最も効果があるのか」を判断することは難しくなります。そのため、多くの現場では経験や勘に基づいて改善活動が行われています。
しかし実際には、
- 一生懸命改善した工程が生産量にほとんど影響しない
- 別の工程が真のボトルネックだった
ということも珍しくありません。
assimeeのシナリオ比較機能を利用すれば、複数の条件を同時に変更し、その結果を定量的に比較することができます。今回は、3つの加工工程からなる製造ラインを例に、最適な生産条件を探してみましょう。
モデル
今回用意したモデルは以下の通りです。

生産ラインは以下の工程から構成されています。
- 部品A加工
- 部品B加工
- 部品C加工
- 組立
- 出荷
各部品は加工工程を経た後、組立工程で統合されて製品になります。
工程条件
今回のモデルでは、
- 故障
- 部品交換
- 待機時間
などの条件があらかじめ設定されています。また、加工A~加工Cまでの初期の処理時間はすべて1個あたり1分としています。その上で、工程の改善活動を行うことで、±20%の範囲で処理時間を変更できるように設定します。つまり、
- 最短:0.8分
- 標準:1.0分
- 最長:1.2分
の範囲で条件を変更できます。
基準シミュレーション
まずは全工程を標準条件である
- 加工A:1.0分
- 加工B:1.0分
- 加工C:1.0分
としてシミュレーションを行います。シミュレーション時間は480分(8時間)です。シミュレーション結果は以下の通りとなりました。

生産数は257個で、この結果を基準値として以降の比較を行います。
シナリオ比較
次にassimeeのシナリオ比較機能を利用します。今回は、
- 加工A
- 加工B
- 加工C
の処理時間をそれぞれ変化させます。今回は、処理時間を±20%の範囲で処理時間を変更できるので、
| シナリオ | 加工Aの処理時間[分] | 加工Bの処理時間[分] | 加工Cの処理時間[分] |
|---|---|---|---|
| 1 | 0.8 | 0.8 | 0.8 |
| 2 | 0.8 | 0.8 | 1.2 |
| 3 | 0.8 | 1.2 | 0.8 |
| 4 | 0.8 | 1.2 | 1.2 |
| 5 | 1.2 | 0.8 | 0.8 |
| 6 | 1.2 | 0.8 | 1.2 |
| 7 | 1.2 | 1.2 | 0.8 |
| 8 | 1.2 | 1.2 | 1.2 |
というように、処理時間の組み合わせを変えた8つのシナリオを一度に生成します。
シミュレーション結果
シナリオ比較の結果は以下のようになりました。

結果を見ると興味深いことがわかります。単純に考えると、「全工程の処理時間を短くした方が生産量は増える」と思われます。確かにその傾向はありますが、今回のモデルでは、加工Bと加工Cの処理時間は生産量に大きな影響を与えている一方で、加工Aの処理時間は多少長くても、生産量への影響が比較的小さいことが分かりました。
つまり、加工Aはボトルネックではないということがわかります。仮に改善予算が限られている場合、加工Aに投資して高速化するよりも、加工Bや加工Cを改善した方が大きな効果を得られる可能性があると判断できます。
このような結果は、実際にラインを観察しているだけでは分かりにくいものです。経験豊富な担当者であっても、
- 「ここが遅そうだ」
- 「ここを改善したい」
という感覚と、実際のボトルネックが一致するとは限りません。シミュレーションによって数値で比較することで、改善効果の大きい工程を客観的に特定できます。
まとめ
今回の例ではassimeeのシナリオ比較機能を利用することで、
- 処理時間
- 故障条件
- 部品交換条件
のパラメータを変更して比較した結果、改善効果の高い工程と低い工程を定量的に把握することができました。
実際の工場ではさらに、
- 作業員数
- AGV台数
- 在庫量
など、さまざまな要素が生産量に影響します。assimeeを活用すれば、これらをシナリオとして比較し、「どこに投資すれば最も効果が大きいか」を数値に基づいて判断することが可能で、経験や勘だけでは見つけにくい最適条件を発見できます。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。