連合作業のシミュレーションと分析の解説

概要

今回は、連合作業のシミュレーションをassimeeで行う方法について解説します。連合作業とは、1人もしくは複数の作業者が1台もしくは複数台の機械を組み合わせて作業を行うことを指します。連合作業の分析では、MMチャートを用いて時間的な効率の良い作業方法を見つけることがよく行われますが、assimeeを使うことで、実際に生産ラインが稼働した際にいくつの製品が生産されるのか、稼働率などを簡単に計算することができます。

連合作業の設定

今回は、旋盤による加工を想定して、以下のような連合作業を考えます。太字の部分は、工員と旋盤が同時に作業(連合作業)を行う部分です。また、旋盤による加工とは別に、出荷処理のための伝票発行をプロセスに加えています。理解を簡単にするために、切削(処理時間2分)を除いた各作業の処理時間は1分単位とし、全体のサイクルタイムが7分になるように設定します。さらに、手待ち時間や旋盤の停止時間は処理時間を0.01分と設定しています。

モデル

上図は、今回作成したモデルです。連合作業の部分は単一のプロセスカードで構成されており、個別作業の部分は分岐を使って、それぞれのプロセスカードを設置しています。また、「010伝票発行」の後にフィードバック部分がありますが、これは1サイクルの最後に発行される伝票を1サイクルの終了フラグとして活用し、1サイクルで1製品のみの加工が行われるように設定しています。

シミュレーションと分析

モデルが完成したら、300分の設定でシミュレーションを行います。今回の想定では、加工時間が1サイクル7分のため、300分の稼働時間で約42個の製品が生産されると考えられます。まずは、実際に生産された製品の数を確認してみましょう。

上図のように42個の製品が出荷されており、想定通りシミュレーションが行われていることが分かります。次に全体のステータスを確認してみます。

上図のように、ステータスを確認することができます。「006工員:手待ち」や「013:旋盤停止」が確認でき、これらの部分では当然ながら動作が停止しています。次に、同じ時間に行われている作業である「006工員:手待ち」と「014旋盤:切削」、「009工員:測定」と「013旋盤:停止」の4つのプロセスについて、稼働率を確認してみます。

以上の図のように、工員の手待ちや旋盤の停止時間が全くの無駄であることが改めて確認できました。次の段階では、確認された無駄時間を基に、作業の組み換えや別作業の挿入など、稼働率を上げるための施策を考えることが必要です。例えば、工員の測定作業を旋盤が切削している間に行うことができれば、サイクルタイムを7分から6分へ縮めることが可能となります。

上表と上図のようにモデルを変更し、サイクルタイムが6分と出来た場合を考えます。結果をシミュレーションで確認してみましょう。

以上の結果から分かるように、作業手順の変更後のシミュレーションによると累計生産数は約43個から約50個となり、14%の生産効率の向上、設備の稼働率の向上が見込めることが分かりました。

まとめ

この記事では、まず、連合作業のモデルを作成して、シミュレーションの結果を使った稼働率の分析を行い、次に、その結果をモデルを変更して再度のシミュレーションするところまでを解説しました。このように、assimeeを使うことで、生産プロセスを稼働前にシミュレーションし、問題点や改善点を効率的に発見することが可能です。また、プログラミングスキルが不要で、誰でも簡単にモデルを作成してシミュレーションを行えるため、現場の作業効率を効果的に高めることができます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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