同一機械で複数加工を行う製造ラインの再現

概要

製造現場では、汎用性の高い機械を用いて、同一の製品に対して複数回の加工を行うケースが数多く見られます。たとえば、1台のマシニングセンタで、穴あけ → 面取り → 研磨というように、一連の異なる加工工程を同じ機械で順番に行うことで、設備コストを抑えながら柔軟な生産を実現しています。このようなプロセスでは、同一の機械を複数回通すという制御の複雑さがあるため、現場では手順や段取りを工夫して効率化が図られています。

今回の記事では、assimeeを使って上記のような「複数工程を同一機械で処理する生産ライン」の挙動をモデル化し、シミュレーションでその生産性や稼働状況を可視化する方法を解説します。

モデル

今回のモデルは以下の図の通りです。共通の部品を3回に分けて繰り返し加工し、製品を完成させるライン構成を想定しています。各加工ステップはすべて同じ種類の機械で行われ、A、B、Cの3本のラインからランダムに選ばれて処理されます。

加工フロー

部品は以下のような加工ステップを経て製品になります:

部品 → 加工1済 → 加工2済 → 加工3済(=製品)→ 出荷単位(3個組)

  • 加工1:処理時間 2分
  • 加工2:処理時間 3分
  • 加工3:処理時間 4分
  • 出荷処理:3個単位で1分の処理時間

ライン構成と動作
  • ラインA / B / Cの3ラインはいずれも同じ性能で、各加工ステップでどのラインを使うかはランダムに決定される。
  • 材料(部品)は各ライン共通で、初期状態では10分に1個の割合で供給される。
  • 加工中は他の部品の加工を並行して行うことはない。
  • 今回は、将来的にライン別の加工特性を持たせることを想定し、加工済の製品にはA/B/Cの添字をつけて区別できるように設定。

この構成により、同じ機械で複数ステップの処理を順番に実施する現場の特徴を忠実に再現しています。

また、今回のサンプルモデルは、ライン間の加工時間を変更したり、繰り返し回数を変えて異なる製品を並行して組み立てるように設定を拡張することで、より多様な生産シナリオにも対応可能となっています。assimeeの柔軟な設定機能を活かせば、実際の製造現場に近いモデルのバリエーションを自在に構築できます。

シミュレーション

今回のシミュレーションは、480分間(8時間)を通して行い、部品の供給量を3パターン(10分に1個、2個、3個)用意して、それぞれの生産数とラインの稼働状況を比較しました。

部品供給が10分間に1個の場合

生産量は各ライン14個となります。

ラインの立ち上げ時間を加味すると計算では各ラインで15個ずつ生産できるはずです。ステータス推移を見ると、ややBの生産割合が少ないことがわかります。ただし、これはランダム性の範囲内と考えられます。

部品供給が10分間に2個の場合

生産量は各ライン30個と前回の2倍となりました(計算では31個)。

ステータス推移を見ると先ほどより偏りが減り部品がそれぞれのラインに供給されていることがわかります。

部品供給が10分間に3個の場合

生産量は各ライン47個となりました(計算では47個)。

ステータス推移を見ると、3つのライン全てがほぼ100%稼働していることがわかります。

まとめると、今回のシミュレーションでは以下のことがわかりました。

生産数とライン使用状況の変化
  • 供給量が10分に1個の場合:加工ステップに対する部品の供給が不足しており稼働率が低く、生産数は限定的。
  • 供給量が10分に2個の場合:部品の供給がづ増えることで、徐々に稼働時間が埋まり始め、3ラインに均等に負荷がかかっている様子が見られる。
  • 供給量が10分に3個の場合:加工能力が最大限に活かされおり、ほぼ無駄なく3ラインが稼働している。生産数は1個供給時の約3倍に到達した。
ランダム選択とライン負荷

本モデルでは加工ラインの選択に優先順位は設定されていないため、各加工ステップごとにA/B/Cのいずれかのラインがランダムに選択されます。各ステータス推移を見ると、それぞれのラインがバランスよく使用されていることが確認できます。

まとめ

今回の記事では、同一の機械を3回通して製品を完成させるラインをモデル化し、材料供給量の違いが生産数や稼働率に与える影響を確認しました。このようにassimeeを使えば、複数の加工工程を同じリソースで処理するような実運用に近いモデルも柔軟に構築可能です。また、供給条件やライン数、処理時間を調整することで、さまざまなシナリオを簡単に比較検討できます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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