掛け持ちによる生産効率変化を再現するモデル

概要

製造現場では、組み立てに必要な部品を作業者自身が取りに行かなければならないケースが多々あります。部品供給が完全に自動化されていない現場では、こうした作業が生産効率に与える影響は決して小さくありません。部品の運搬を担当する作業者が、掛け持ちで組み立て作業にも携わっている場合には、作業員が現場を離れることで、残された作業員だけで作業を続けることになり、生産スピードが一時的に低下することになります。今回の記事では、assimeeを使ってこのような作業状況を再現し、生産効率への影響をシミュレーションによって可視化します。

モデル

今回構築するモデルは以下の図のようになります。

3人の作業員が3種類の部品(A・B・C)を組み立てて製品を作っています。モデルの具体的な内容を紹介します。

組み立て条件
  • 製品1個あたりに必要な部品構成は、部品A ×1、部品B ×2、部品C ×1
  • 作業員Aと作業員Bは、終日組み立て専任
  • 作業員Cは、通常は組み立て作業に従事しますが、部品Cが不足すると、部品置き場まで補充に向かう
部品供給の条件
  • 部品A:20分に1個、自動供給
  • 部品B:10分に1個、自動供給
  • 部品C:20個単位で一括供給。12個が使用されたタイミングで補充作業が発生し、作業員Cが片道20分かけて部品置き場まで取りに行く

このモデルでは、作業員Cが部品Cの補充に向かっている間は、作業者が2人となるため、生産効率が3分の2に低下するよう設定します。assimeeでは、こうした作業員の行動や役割の変化に応じたラインの挙動を柔軟にモデル化することが可能です。

シミュレーション結果

シミュレーションは480分間(8時間相当)で実施し、生産ラインの稼働状況を確認します。以下がシミュレーション結果となります。

ステータス推移図を見ると、作業員3人が揃って作業している間は、おおよそ20分に1個のペースで製品が完成していることが分かります。一方で、作業員Cが部品Cを取りに行っている間は、作業者が2人に減るため、生産速度が一時的に低下し、製品1個の生産に30分ほどかかっていることが確認できます(赤く細い縦線で挟まれた部分)。この結果から、人員の一時的な離脱が生産効率にどのような影響を与えるかを見える化することができました。

まとめ

今回の記事では、部品の補充を担当する作業員が組み立て作業と運搬作業を掛け持ちしている場合の生産ラインをassimeeで再現し、生産効率の変化を可視化するモデルを構築しました。このようにassimeeでは、作業員の人数や役割の変化によって生産速度が変動するような複雑なプロセスも柔軟にモデル化することができます。実際の現場で起こりうる細かな条件を取り込んだシナリオを作成し、シミュレーションを通じて改善の余地やボトルネックを見つけ出すことが可能です。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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