概要
生産現場や物流現場では、フリーフローコンベアが広く活用されています。フリーフローコンベアは、ワークを一定の間隔で搬送するだけでなく、工程間で一時的に滞留(貯留)させることができるため、ライン全体の柔軟性を高める役割を担っています。
しかし、その一方でコンベアが停止した場合、
- 上流工程でワークが滞留する
- 下流工程で部品不足が発生する
- ライン全体の稼働率が低下する
といった影響が発生します。
実際の現場では、「故障がどれくらいの影響を与えるのか」を事前に把握することは難しく、経験や過去のトラブル事例に頼るケースが多いのが現状です。そこで本記事では、assimeeを用いてフリーフローコンベアの故障を再現し、その影響を定量的に評価する方法を解説します。
モデル
今回は、下図のようにフリーフローコンベアを含むシンプルな生産ラインを用意しました。

フリーフローコンベアーの以下のような特徴を再現しています。
- コンベア上でワークが一定数貯留できる構造(フリーフロー特性)
- 上流工程 → コンベア → 下流工程という基本的なライン構成
- コンベア停止時に、上流・下流それぞれに影響が伝播する挙動
故障条件
今回のシミュレーションでは、以下の条件を設定します。

- 稼働開始から 240分後に検査工程で故障が発生
- 故障後、復旧までに60分かかる
- 故障中は検査工程が完全に停止し、搬送を堰き止める
この条件で故障を発生させ、
- 故障が発生しない場合
- 故障が発生する場合
の2パターンで比較を行い、フリーフローコンベアの貯留機能がどの程度影響を緩和するかを確認します。
シミュレーション結果
シミュレーションを480分間実行し、「故障なし」と「故障あり」の結果を比較しました。
故障なしの場合


ステータス推移のグラフから以下のことがわかります。
- コンベアは安定して稼働し、ワークは一定のリズムで流れる
- 上流・下流ともに大きな滞留や停止は発生しない
- 生産は計画通りに進行
故障ありの場合


故障ありの場合、ステータス推移のグラフから以下のことがわかります。
- 240分稼働した時点で検査工程が停止
- 上流側のコンベアにワークが滞留
- 下流工程では部品供給が止まり、待機状態が発生
ただし、フリーフローコンベアの特徴である「貯留機能」により、
- 停止直後はコンベア上の在庫で一定時間は下流工程が稼働
- 徐々に在庫が枯渇し、停止の影響が顕在化
という挙動が確認されました。
60分後に故障から復旧した後は再び搬送が再開されますが、
- 一時的な滞留の解消に時間がかかる
- ライン全体のリズムが乱れる
といった影響が残ることも確認できます。
まとめ
assimeeを活用することで、今回のように
- フリーフローコンベアの故障発生
- 故障時間や復旧時間の設定
- 故障による生産への影響評価
を簡単にシミュレーションすることが可能です。
特に重要なのは、
- フリーフローコンベアーの貯留能力がどの程度リスクを吸収できるか
- どの時点で下流工程が供給不足で停止するか
- 故障復旧後の回復にどれだけ時間がかかるか
といった点を定量的に把握できることです。また、assimeeではさらに詳細な設定として、
- 故障対応を行う作業員の配置
- 複数設備の連鎖的な停止
なども再現可能です。
フリーフローコンベアのような柔軟な搬送設備は、適切に設計すれば故障の影響を緩和できますが、逆に設計を誤るとライン全体の停止につながるリスクもあります。そのため、設備導入やライン設計の段階で、シミュレーションによる事前検証を行うことが非常に重要です。assimeeは、こうしたリスク評価と改善検討を支援する有効なツールとなります。
assimeeは現場での運用に即した詳細な搬送シナリオを設計・検証できるため、工数の見積もりやボトルネックの把握にも役立ちます。プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。