ロット生産のモデルを作成する方法の解説(最適化編)

概要

前回の記事では、ロット生産を再現する方法について解説しました。今回は、人員の最適化によってロット生産の生産計画を立てる方法について説明します。具体的には、出荷プロセスに生産目標となる出荷目標を設定し、プロセスの作業人数を最適化対象として人員の最適化を行います。また、複数品目を生産する場合の対応についても解説します。

最適化の準備

上図は前回作成したモデルです。
前回を振り返ると、このモデルは以下のような設定でした。

・部品Aを100個でグルーピング
・100個口の製品Aを生産
・製品A10個をグルーピングしたコンテナを出荷

このモデルを活用してロット生産時の生産計画を人の最適化機能を使って立ててみましょう。

最適化と分析

まず、最適化を行う対象を決めます。今回は「003ロット化」、「007ライン組立1」、「014ライン組立2」、「017ライン組立3」、「010梱包作業」の5つのプロセスの作業人数を選択します。

次に対応する出荷目標を設定します。今回の出荷目標は60分あたり2コンテナ(製品A20ロット=2,000個)とします。また、出荷目標に対応する形で、「001入荷」に部品Aが60分あたり2,000個の割合で入荷するように設定します。

最後には以下の図のように最適化の範囲を設定します。最適化対象のパラメーター範囲を1人から50人と設定します。*人数の上限についてはシミュレーションを繰り返したり、最適化の結果を見て調整してください。

設定が完了したら、最適化を実行します。最適化結果は、ダッシュボードにグラフを表示することで確認できます。今回は、「最適化結果」、「累積生産推移」、「生産推移」、および「ステータス推移」を表示しています。

「最適化結果」には、出荷目標を達成するために必要な作業人数が表示されます。「累積生産推移」と「生産推移」には、出荷量と出荷目標が示されており、出荷目標が達成されていることが確認できます。最後に、「ステータス推移」では、最適化後の各プロセスにおいて入荷の不足や運搬手段のひっ迫といった異常が確認されないため、結果が正常であることがわかります。

次に、複数の品目を生産する計画を立てる場合について解説します。生産ラインで複数の製品を同時に生産せず、段取り替えを行って生産ライン自体を切り替える場合は、2つのモデルを作成し、それぞれ別々に最適化を行った方が、効率的に計算することができます。

では、製品Bを追加することを考えましょう。前述の結果では、300分のライン稼働で製品Aを10コンテナ分(100ロット=10,000個)生産しました。次に、製品Aの生産後に、以下の設定で製品Bを15コンテナ分(150ロット=7,500個)生産することを仮定します。モデルは先ほどのモデルを基にし、パラメーター設定を一部変更して使用します(変更点は太字で示します)。

・ラインの稼働は300分
・100個の部品Bを50個口2つにグルーピング=>「003ロット化」の対象品目と個数を設定
・50個口の製品Bを生産=>「007ライン1組立」、「014ライン2組立」、「017ライン3組立」の対象品目と個数を変更
・製品B10個をグルーピングしたコンテナを出荷=>「010梱包作業」の対象品目を変更
60分あたり3コンテナ分の製品Bを生産するため、部品Bを60分あたり2,000個入荷するように「001入荷」を設定

なお、簡便化のため、各プロセスでの処理時間や最適化時のパラメーターの範囲は、製品Aと製品Bの両方で同一の設定を使用しています。以下が製品Bの最適化結果です。先ほどと同様に結果を確認したところ、こちらも出荷目標を達成していることが確認できました。

これで、製品Aと製品Bの最適化結果がそれぞれ300分ずつ揃いました。この2つの結果を統合することで、合計600分で、製品Aを10コンテナ=100ロット分、製品Bを15コンテナ=150ロット分(製品Aは10,000個、製品Bは7,500個)生産する計画を立てることができました。

まとめ

前後2回に分けて、ロット生産のシミュレーション方法と、ロット生産の最適化方法について解説しました。このように、assimeeを効果的に活用することで、ロット単位でのシミュレーションや作業人数の最適化、さらにそれに基づく生産計画の立案など、幅広い業務を実行することが可能です。プロセスを誰でも簡単に現場でモデル化し、その場でシミュレーションやパラメーターの最適化が行えるため、日常業務の平準化や効率化を容易に実現できます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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