カーボン・オフセットとは?

概要

この記事では環境省のガイドラインを基にカーボンオフセットについて解説します。
カーボン・オフセットとは企業などが自らの活動に伴い排出するCO2等の温室効果ガス(GHG)を算定し、削減努力を行った上で、削減努力後に残った排出量をカーボン・クレジットで埋め合わせるための取組となります。

カーボン・オフセットの概要

カーボン・オフセットは下図のような3つのステップで実施します。

①の「知って」はカーボンニュートラルへの取組で解説したScopeごとやCatergoryごとに分けた排出量の算定のことを指します。
②の「減らして」は①に基づいた削減計画の策定、実施と、再評価からなるCNサイクルを回し策伝努力を行うことを指します。
③の「オフセット」は下図のように

GHGの排出量削減努力を行った上で、どうしても減らすことができない排出量をカーボン・クレジットの購入で埋め合わせを行う仕組みです。カーボン・オフセットにより、排出量のすべての埋め合わせが行われた状態を、環境省では「カーボンニュートラル」と定義しています。

カーボン・オフセットの3つの取組

カーボン・オフセットへの取り組みは以下の表のように3つの取組類型があります。

(1)製品・サービスオフセット

製品・サービスオフセットでは取組実施者と製品・サービスの利用者の2つの主体が存在します。このため取組実施者(製品・サービスの製造者および販売者、提供者)と製品・サービスの利用者・購入者のどちらかがカーボン・オフセットに取り組むことになります。
例としては

  • 製造に伴う温室効果ガス排出をオフセットした衣服の販売
  • 印刷時の電力消費に伴う温室効果ガス排出をオフセットしたプリンタの販売
  • 発電時のエネルギー消費に伴う温室効果ガス排出をオフセットした電力の販売

などがあります。

(2)会議・イベントオフセット

会議・イベントオフセットは会議・イベント主催者がオフセット主体となります。
例としては

  • 会場内の消費電力に伴う温室効果ガス排出をオフセットしたチャリティーライブの開催
  • 会場運営及び出席者の移動・宿泊に伴う温室効果ガス排出をオフセットした国際会議の実施

などがあります。

(3)組織活動オフセット

組織活動オフセットは該当する組織がオフセット主体となります。
活動対象はGHG排出量の算定に用いられる範囲となり、例としては

  • 自社工場でのエネルギー(電力、ガス等)使用に伴う温室効果ガス排出のオフセット
  • 自社のバリューチェーン全体からの温室効果ガス排出のオフセット

などがあります。

3つの取組の対象範囲とオフセット主体を図にすると以下のようになります。

その他の取組

その他の取組としては前記の3つの取組の範疇外の部分や、製品・サービスの購入と同時にカーボンクレジットや森林クレジットを購入することよりカーボンニュートラルや植林による排出量削減に資金面で貢献するといった取組が以下のように挙げられています。

  • 家具販売を通じて、家具の購入者の日常生活に伴う温室効果ガス排出のオフセットを支援する
  • チケット販売を通じて、ライブへの来場者の日常生活に伴う温室効果ガス排出のオフセットを支援する
  • 販売額の一部をクレジット購入に用いるスポーツウェアの販売
  • 来場者1人につき1kg-CO2の森林クレジットを購入し、森林保全に寄与する環境保護イベントの開催

まとめ

今回はカーボン・オフセットの概念について解説しました。カーボン・オフセットとは、GHG排出量の削減努力の先にあり、最終的に残った排出量を埋め合わせることでカーボンニュートラルを実現するための取組です。次回以降は、埋め合わせに使用されるカーボン・クレジットやカーボン・オフセットの具体的な進め方について解説します。

assimeeは、製造プロセスや物流プロセスをモデル化し、シミュレーション結果を活用して、現実に即したサプライチェーンの排出量を正確に算定することが可能です。近年では、生産技術の担当範囲が拡大しており、カーボンニュートラルに向けた排出量の算定業務も生産技術が担当するケースが増加しています。このように業務増加によって、負担が大きくなっている担当者様、複雑な算定業務でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。