製造

毎週変わる業務量に合わせてAGVの最適な台数と配置をシミュレーションを元に決定する

概要

製造・物流現場では、毎週同じ量の仕事が発生するとは限りません。受注量や生産計画の変化によって、部品や製品の搬送量も週ごとに変化します。このような現場でAGVを運用する場合、「今週はどの業務に何台のAGVを配置すればよいのか」をその都度検討する必要があります。例えば、部品供給が多い週には上流側の搬送へAGVを多く配置し、後工程の処理量が多い週には工程間搬送へ多く配置するなど、業務量に合わせた柔軟な運用が必要になります。

しかし、複数の搬送業務が互いに影響するラインでは、搬送量や搬送時間を表計算だけで整理し、最適な配置を求めることは簡単ではありません。そのため、これまでは、「とりあえず5台ずつ配置する」といったように、経験や過去の運用をもとに固定的な配置を行うケースもあります。もちろん、5台ずつの配置が最適な場合もあります。しかし、実際には一方の業務へ多く配置した方が生産量を増やせるかもしれません。また、そもそも10台すべてを使用する必要がなく、より少ない台数でも同等の生産量を確保できる可能性もあります。

assimeeでは、このような複数の条件が存在する場合に同時にシミュレーションを実行し、その結果を一括で比較することができます。今回はこの機能を活用し、毎週変化する業務量を想定しながら、AGVの最適な台数と配置の組み合わせを検討してみます。

モデル

今回用意したモデルは、下図の通りで、前工程と後工程の2つの加工エリアを持つ製造ラインです。

工場へ入荷した部品は、まず前半の加工セルへ搬送されます。前半の加工が終了すると、中間製品を後半の加工セルへ搬送し、そこで仕上げ加工を行います。この2つの搬送を、それぞれAGVが担当します。

搬送業務①:入荷場所から前半セルへの部品供給

1つ目は、入荷した部品を前半の加工セルへ供給する業務です。部品が不足すると前工程そのものが稼働できなくなるため、AGVの台数が不足すると部品待ちによる停止が発生します。

搬送業務②:前半セルから後半セルへの工程間搬送

2つ目は、前半セルで加工された中間製品を後半セルへ運ぶ業務です。こちらの搬送能力が不足すると、前半セルで加工済みの製品が滞留する一方、後半セルでは加工対象が届かず待機する可能性があります。

つまり、どちらか一方へAGVを多く配置すればよいわけではありません。2つの搬送能力のバランスを取りながら、ライン全体の生産量を最大化する必要があります。

AGVの配置シナリオ

今回使用できるAGVは最大10台です。従来は単純に、

  • 前半への部品供給:5台
  • 前半から後半への搬送:5台

という配置を行っていたものとします。しかし、この「5台+5台」が本当に最適なのかは分かりません。そこで、今回は以下の配置パターンを用意して比較します。

シナリオ前半への部品供給前半→後半の搬送
12台2台
23台3台
34台4台
45台5台
54台6台
63台7台
72台8台
86台4台
97台3台
108台2台

この条件には、合計10台をすべて使用するシナリオだけでなく、4台、6台、8台だけを使用するシナリオも含まれています。これにより、

  • どちらの搬送業務へ多く配置すべきか
  • 5台ずつという従来配置は適切なのか
  • 10台すべてを使用する必要があるのか

を同時に検証できます。

assimeeでは複数の設定をまとめてシミュレーションし、結果を一覧で確認できるため、それぞれのモデルを1つずつ作り直して実行する必要はありません。

シミュレーション結果

シミュレーション期間を月曜日から金曜日、毎日の稼働時間を8時から17時までの8時間、12時から13時までは休憩時間と設定して行います。各配置条件について同じ1週間分の業務量を与えます。今回の比較では、最終的にどれだけの製品を生産できたかを見ることで、ライン全体として最も効率のよい配置を判断します。結果を確認すると、以下の通りになりました。

この結果を表にすると以下の通りになります。

シナリオ前半への部品供給前半→後半の搬送生産数
12台2台4625
23台3台6950
34台4台9250
45台5台9875
54台6台9250
63台7台6950
72台8台4625
86台4台9950
97台3台9950
108台2台9900

前半への部品供給用AGV:6台、前半から後半への搬送用AGV:4台

前半への部品供給用AGV:7台、前半から後半への搬送用AGV:3台

が最も生産量が多い組み合わせとなりました。

従来使用していた5台+5台の配置と比較することで、AGVの配分を変更するだけで生産量が改善できることが確認できます。
また、仮に10%程の生産減少が許容できるのであれば、使用するAGVの総数を8台とし、残りの2台は点検作業を業務と並行して行う、他の現場へ応援に回すなどの運用計画を検討することもできます。
重要なの点は、単純にAGVの台数を増やすことではありません。一方の搬送能力だけを高めても、もう一方の搬送工程や加工設備がボトルネックになれば、生産量はそれ以上増加しません。そのため、ライン全体のバランスを考慮してAGVを配置することが重要です。

毎週変わる業務量にも対応する

今回のモデルでは1週間分の業務量を設定して比較しましたが、実際の現場では翌週も同じ条件になるとは限りません。例えば、

  • 今週は前工程の処理量が多い
  • 来週は後工程への搬送量が増える
  • 繁忙期だけ全10台を使用する
  • 閑散期はAGVを減らして別工程へ回す

といった変化が考えられます。この場合も、その週の生産計画や入荷量をモデルへ入力し、同じように複数のAGV配置を比較することで、その週に適した配置を検討できます。つまり、AGVの最適配置を毎週業務量に合わせて変更するという運用も可能になります。

まとめ

今回の記事では、2種類の搬送業務を持つ生産ラインを対象として、最大10台のAGVをどのように配置すれば効率よく生産できるのかを検証しました。assimeeのシナリオ比較機能を活用することで、複数のAGV配置をまとめてシミュレーションし、生産数や搬送数などの結果を横並びで比較することができます。これにより、

  • どの業務へAGVを多く配置すべきか
  • 現在の配置が適切なのか
  • AGVを10台すべて使用する必要があるのか
  • 業務量が変わった場合に配置をどう変更すべきか

といった判断を、経験や勘だけではなくシミュレーション結果を根拠として行うことができます。実際の現場では、搬送時間や加工能力、入荷量などさまざまな条件が複雑に関係するため、最適なAGV配置を単純な計算だけで求めることは困難です。assimeeを活用することで、こうした複雑な条件を含めて複数の配置案を比較し、その時々の業務量に適したAGVの台数と配置を効率よく検討することが可能です。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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