概要
現場作業においては、個別作業と共同作業の異なる作業形態が存在します。それぞれにメリットや適した用途があり、現場の状況や作業の内容に応じて適切に使い分けられています。個別作業は、一人で作業を行うスタイルです。作業を自分のペースで行うことで集中しやすく、作業効率を上げやすいというメリットがあります。一方で、共同作業は、複数の人が協力しチームワークを活かすことで、より複雑な作業や大規模な作業を効率的に進めることができます。現場作業では、作業内容や状況に合わせて、個別作業と共同作業を使い分けることが重要です。例えば、単純作業や細かな作業は個別作業で行い、複雑な作業や大規模な作業は共同作業で行うなどの方法があります。今回の記事では個別作業(ピッキング)と共同作業(仕分け作業)を同時に行う現場をモデルで再現し、シミュレーションを行いました。
モデル
今回用意したモデルは下図のとおりです。

今回作成するモデルでは、3人の作業員が「個別作業」と「共同作業」を交互に行う現場の流れを再現します。
作業は大きく以下の2つのフェーズに分かれています。
① 前半:個別作業(ピッキング)
作業員A、作業員B、作業員Cがそれぞれ個別にピッキング作業を行います。
各作業員の作業速度は以下の通りです:
- 作業員A:1個あたり 2分
- 作業員B:1個あたり 3分
- 作業員C:1個あたり 2.5分
② 後半:共同作業(商品仕分け)
ピッキング作業が終了した作業員から順次共同作業(150個分の商品仕分け)に参加します。
共同作業には以下のルールがあります:
- 作業員は個別作業が終了した順に共同作業へ参加します。
→ 早く終了した作業員ほど多くの仕分け作業を担当する形になります。 - 共同作業は、150個分の仕分け作業が完了した時点で終了します。
→ 作業カウントを管理し、150個に達したら自動的に共同作業を終える仕組みを組み込みます。 - 共同作業終了後、3人全員は再度個別作業(次のピッキング作業)へ戻ります。
- 150個分の仕分け作業が完了したら、まとめて一括出荷を行います。
モデル上の実装ポイント
- 共同作業への動的参加管理
→ 個別作業の完了をトリガーに、共同作業への作業員割当を切り替えます。 - 仕分け作業の作業カウント管理
→ 各作業員の仕分け作業実績を追跡し、合計が150個に達したら終了判定を行います。 - 作業フェーズのループ設計
→ 共同作業終了後に再度個別作業に戻る流れをループとして設計します。これにより、現場の実際の繰り返し作業サイクルを再現できます。
シミュレーション
モデルの作成が終了したら、シミュレーション時間を480分に設定して、シミュレーションを行います。下図はシムレーションの結果となります。累積生産推移を見ると、仕分け作業が終了するのは2回であることがわかります。

次に個別作業と共同作業の作業履歴を確認するためにステータス推移を見てみましょう。

ステータス推移を確認した結果、モデルが想定通りに動作していることが確認できました。具体的なポイントは以下の通りです。
- 作業員A、B、Cはそれぞれ50個分の個別作業(ピッキング)を最初に実施しており、全員が個別作業から作業を開始していることが確認できます。
- 個別作業を終えた作業員から順番に共同作業へ参加しており、共同作業中は各作業員が状況に応じて作業を進めていることがわかります。
- 作業員Aは最も早く個別作業を終えているため、共同作業への参加時間が最も長くなっており、自然な作業負荷の偏りが反映されています。
- 150個分の共同作業が完了したタイミングで、想定通り作業終了のフラグが正常に立っており、3人ともほぼ同時に共同作業を終了していることが確認できました。
- その後、3人の作業員は再び個別作業へと移行し、個別作業と共同作業を交互に繰り返す流れが正しくモデル内で実現されています。
以上の結果から、「個別作業の完了をトリガーにして共同作業へ移行し、共同作業終了後に再び個別作業へ戻る」というモデル設計が、意図した通り正しく構築できていることが確認できました。
まとめ
今回の記事では、同じ作業員グループが「個別作業」と「共同作業」を交互に行う現場のモデルを作成し、シミュレーションを行いました。このように、assimeeでは用意されているプロセスカードを柔軟に組み合わせることができるため、現場のライン構成や作業の流れを実際の現場に近い形で再現することが可能です。さらに、シミュレーションを通じて作業の進行状況やボトルネック、作業負荷の偏りなどを可視化・検証できます。また、assimeeは操作性が高く、専門的な知識がなくても誰でも簡単にシミュレーションを作成・実行できるのが大きな特長です。これにより、ライン構成や作業計画の検討・改善業務を効率的に進めることができ、現場改善のスピードアップにも貢献します。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。