追い越し搬送の動作を再現する

概要

生産現場にある単一の生産ラインで、少量多品種を生産する場合、製品により加工工程が異なることがあります。この様な場合に効率的な生産を行うためには搬送時の追い越しを行えるようにモデルを作成する必要があります。追い越し搬送とは、搬送路に複数のルートや分岐・合流ポイントを設け、製品ごとの工程構成に応じて、処理が不要な工程をスキップし、前の製品を追い越すように搬送する方式です。これによりライン全体が滞留せず、流し続けることが可能となります。今回の記事では塗装工場のモデルを考え、追い越し搬送を適切に設定したモデルを作成し、シミュレーションするまでを解説します。

モデル

今回作成したモデルは、以下のようになります。

まず、入荷したワークは前処理加工を行った後、塗装工程へ進みます。ワークは共通の搬送路を移動するキャリアにセットされ、コンベアライン(ローラーコンベアー)上を搬送されていきます。出荷後にはキャリアを再利用するため、キャリアの返送フローも含まれています。
キャリアの数は4台に制限されており、コンベアラインは基本的に一本の直線構成としています。このため、工程の混雑や滞留はキャリアの占有状況や処理時間の差によって発生します。
前処理加工を終えたワークは、2種類の塗装工程のいずれかにランダムに割り振られます。この塗装工程には、処理中のワークを追い越すための追い越しレーンが用意されており、処理の割り振り結果に応じて、ワークが異なるルートを通るようになっています。
塗装中のキャリアがコンベアラインを占有している場合でも、このような迂回レーンを通ることで、後続のワークが前のワークを追い越して次の塗装工程へ進むことが可能です。また、この迂回レーンの搬送時間は塗装処理時間に比べて十分に短いため、追い越しによるタイムロスはほとんど発生しません。
このように、限られたキャリア数、一本道の搬送に加えて追い越し搬送を組み込んだ場合の生産ライン制御を再現することができます。

シミュレーション

モデルが完成したら、シミュレーション時間を480分に設定してシミュレーションを行います。シミュレーション結果は以下の通りとなります。

今回のシミュレーションではどちらの塗装工程に入るかをランダムとしたため、出荷品がほぼ同数になっています。次に、追い越し搬送がうまくできているかステータス推移を使って確認してみましょう。

シミュレーションのステータス推移を見ると、「010白塗装」を処理中のワークを追い越すために、「022追い越しレーン」へ分岐した別のワークが、次の工程である「014茶塗装」へ向かっている様子が確認できます。
一方で、「010白塗装」で塗装を終えたワークは、逆に「021追い越しレーン」を通って、「014茶塗装」をスキップし、次の工程へと進んでいます。
このように、ワークの属性(品種や処理内容)に応じて分岐ルートを切り替えることで、実際のライン上での動きを細かく再現することが可能です。また、塗装前の待機列などバッファも、自由に挿入・調整できるため、混雑や滞留の発生状況を含めた、より現実に近いライン挙動のシミュレーションが行えます。

まとめ

今回の記事では、追い越し搬送をassimeeで再現、シミュレーションを実施して動作を確認しました。assimeeを使うことで、生産現場や物流現場で実際に使用されている搬送装置や機械などを再現したモデルを作成し、シミュレーションを行うことができます。また、モデルの設定を変更したシミュレーションを繰り返し行うことで、生産ラインが必要な性能を持っているかを検討することが可能となります。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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