製造

フィジカルAIを搭載したロボットアームの導入条件をシミュレーションで検証する

概要

製造現場では、ライン上から作業台へ、作業台から加工機へといった工程間の搬送に、ロボットアームが広く活用されています。こうしたロボットによるピック&プレース作業は、従来人が行っていた搬送作業の省人化や作業負荷の軽減、生産性向上を目的として、多くの現場で導入されています。さらに近年では、カメラやセンサー、AIを組み合わせることで、ワークの位置や状態を認識し、周囲の状況に応じて適切な動作を判断するフィジカルAIの活用が注目されています。あらかじめ決められた位置や動作を繰り返す従来型のロボットだけでなく、ワークの位置や種類が変化する環境にも柔軟に対応できるロボットの利用が期待されています。
一方で、フィジカルAIを搭載したロボットを実際の生産ラインへ導入する際には、ロボット単体がワークを認識して搬送できるかだけでなく、処理時間や搬送タイミング、他工程との待ち時間などを含めて、生産ライン全体として十分な生産性を確保できるかを事前に検証することが重要です。

今回の記事では、フィジカルAIを活用したロボットアームによるワークのピックとプレースを想定し、その搬送工程をassimee上で再現します。ロボットを導入した際の搬送タイミングや工程間の待ち時間、ボトルネックなどをシミュレーションすることで、フィジカルAIを実際の現場へ導入する前に、適切な運用条件や導入効果を検証する方法をご紹介します。

モデル

今回作成するモデルは下図のようになります。

このモデルは以下のようなプロセスが行われるラインを再現しています。

  • ワークは入荷用パレットで10個まとめて入荷
  • 入荷用パレットからおろし、ロボットアーム1の場所までワークを搬送
  • 作業台Aが空いている場合、ロボットアーム1を使って作業台Aへ搬送(搬送時間1分)、パレットは出荷されるワークを受け取りに移動
  • 加工機Aと加工機Bのどちらか一方でも空いている場合、ロボットアーム1を使って作業台Aから空いている加工機へ搬送(搬送時間1分)して加工(処理時間1分)
  • 作業台Bが空いている場合、ロボットアーム2を使って加工機から作業台Bへ搬送(搬送時間1分)
  • 出荷用パレットが空いている場合、ロボットアーム2を使って作業台Bから出荷用パレットへ搬送(搬送時間1分)
  • 出荷用パレットを使って10個にまとめて出荷

なお、入荷用パレットと出荷用パレットはそれぞれ1台、作業台Aと作業台B、加工1と加工2におけるワークは1個、ロボットアームが1度に掴めるワークは1個と仮定します。

シミュレーションと分析

モデルの作成が終わったらシミュレーションを行います。今回はシミュレーション時間を480分に設定します。

以上の結果から、ロボットアームが置き場から作業台に搬送する際に待ち時間が発生しているものの、加工機への搬送など他の部分には待ち時間が発生していないことから、2台のロボットアームが1個ずつワークを順番に処理しており、1つしかワークの置けない作業台に2つのワークを搬送するなどの想定外の動きをしていないことがわかります。

次にロボットアームの詳細な動きを確認してみましょう。下図はロボットアーム1のステータスです。ここから2台の加工機に交互にワークが送り込まれていことがわかります。

このように、さまざまな状況を想定しながらパラメーターを変更したシミュレーションを繰り返し実施することで、生産ラインの性能やロボットアームの状況を評価し、ボトルネックなどの課題を把握・検討することが可能になります。

まとめ

今回は、製造現場でよく使用されているロボットアームによる搬送を再現し、シミュレーションを行う手順について解説しました。assimeeを使用すれば、実際の現場で使われている搬送装置や加工機械を模したモデルを作成し、シミュレーションを実施することが可能です。また、各種設定を変更しながらシミュレーションを繰り返すことで、生産ラインの性能を可視化したり、故障時の影響やその対策を検討したりと、現場改善に役立つ分析を行うことができます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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