概要
巡回型セル生産方式は、生産ラインを個別の「セル」に分割し、複数の工程を行うものです。一方、巡回型のセル生産方式では、作業者が1つのセルに固定されるのではなく、複数のセルを巡回しながら製品の組み立てや加工を行います。この方式では、各セルを製品に合わせて柔軟に準備したり、巡回するセルを作業者が選ぶことで、工程変更にも柔軟に対応可能です。また、巡回速度や作業人数を調整することで、生産量を調整することもできます。巡回型セル生産方式は、例えるならカフェテリア方式の社員食堂のように、作業員ごとに異なる製品を組み立てることも可能で、少量多品種の生産に適しています。しかし、この方式には、巡回する作業者に多工程に対応するスキルが求められるというデメリットもあります。
今回の記事では、巡回型セル生産方式を再現したモデルを作成し、シミュレーションを行う手順について解説します。
モデル
以下が巡回型セル生産方式を再現したモデルとなります。通常のセル生産方式ではセルごとの生産を再現するために伝票を発行する形を取っていましたが、今回は伝票ではなく生産人員とし、「004生産人員待機場所」の初期仕掛に配置することで、巡回する作業員を再現しています。
シミュレーション
モデルが完成したらシミュレーションを行います。今回のシミュレーションではセルを巡回して作業を行う生産人員を1人、シミュレーション時間を120分と設定してシミュレーションを行いました。生産人員が1人の場合、1時間当たりの生産数は12個となりました。この時、ステータス推移をみると、5つの組立プロセスが、1つずつ順番に実行されていることが分かります。
次に「004生産人員待機場所」の初期仕掛に配置する生産人員を2人へ増やしてみましょう。生産人員を2人にした場合、1時間あたりの生産数は、1人のときの12個から24個へと倍増しました。ステータスの推移を見ると、それぞれの組立プロセスで2人の生産人員が連続して作業を行っており、1人の場合と比較して各組立プロセスの稼働時間が2倍になっていることが確認できます。一方で、依然としてアイドル時間が存在しており、まだ生産余力が残っていることが分かります。
最後に生産人員を5人に増やしてみましょう。生産人員を5人にした場合、1時間あたりの生産数は60個まで増加しました。ステータスの推移を見ると、各組立プロセスの稼働率はほぼ100%となり、ほぼフル稼働で生産が行われていることが分かります。この結果から、さらに生産量を増やすためには、生産人員だけでなく、生産セルの数を増やす必要があることが示されています。
まとめ
今回の記事では巡回型セル生産方式のモデルを作成し、巡回する作業員を増やしながら、シミュレーション結果を比較しました。assimeeでは、実際の生産ラインの配置や各作業員の動きなどをモデル化し、シミュレーションを行うことが可能です。また、ネットワーク環境さえあれば、シミュレーションをいつでもどこでも、行うことが可能で、今回行ったようにパラメーターを変えてシミュレーションをやり直し、結果を比較することも容易にできます。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。