監査業務のボトルネックを発見する方法の解説

概要

assimeeは製造業や物流だけでなく、様々な業務のフローを再現することが可能です。今回の記事ではISO9001で定義された会社の監査プロセスをサンプルにモデルを作成してみましょう。会社の内部監査をするために複数のチームを組んで、監査を行うためのチェックリストを作成し、チェックを行って、是非を報告するというプロセスを再現しています。

今回のモデルは下図のようになります。

モデルの作成

モデルの前提

今回は以下のような設定となるようにモデルの設定を行います。

  1. 入荷量:5日(2400分)に5業務
  2. 稼働時間(シミュレーション時間):1日当たり8時間稼働で5日(2400分)
  3. 監査チームを3つ用意(分岐)
  4. 監査で不具合がある場合は再監査を行う

モデルの作成は以下の3つのブロックに分けて解説と設定を行います。

  • 準備ブロック
  • 監査ブロック
  • 報告ブロック

準備ブロック

準備ブロックは監査業務の発生からスケジューリング、監査用のチェックリストの作成業務を想定して以下の図のようにプロセスカードを配置します。

監査ブロック

監査ブロックは実際の監査を行う部分で、今回は3つの監査チームを配置してそれぞれ監査と監査の報告書を作成する業務を想定して、以下の図のようにプロセスカードを配置します。シミュレーション後に監査に適合と不適合の件数が分かるように分岐を使って、適合と不適合を別々のリスト(置き場)に入れてから報告書を作成するように配置します。

報告ブロック

報告ブロックは監査全体の判定と、監査の適合ケースに対しては報告、不適合ケースに対しては改善策の作成と実施、改善策実施後の再監査の実施を想定して以下の図のようにプロセスカードを配置します。再監査は業務の再発生と想定して、監査スケジュールの作成までフローを戻すように配置しました。

シミュレーション

モデルのパラメーター設定が終了したら、モデル名を「監査業務のモデル」に変更し、シミュレーション時間を5日の業務時間に相当する2400分に変更してシミュレーションを行います。シミュ―ションが終了するダッシュボード画面が表示され、結果を確認することができます。*再監査の発生にランダム変数が含まれるため、シミュ―ション結果が一致しないことがあります。

このモデルでは5日間で5件の業務が発生していますが、ランダムに全件が再監査となり、0件と表示される場合があります。その場合は再度シミュレーションを実施してみてください。何回シミュレーションを行っても0件が表示される場合は、モデルに問題があると考えられるのでシミュレーションの設定を再度確認してください。

ボトルネックの探索

ここからは作成したシミュレーション結果を分析してボトルネックの有無を探索して行きます。まず、ダッシュボードからステータス推移を表示させます。

この図では各プロセスの稼働状況を確認できます。ボトルネックが生じた場合、ステータス推移では「送り出し待ち、詰み下ろし待ち」を示す、赤色が表示され、順調に処理されている時は「稼働中、運搬中、搬送中」を意味する黄緑色が表示されます。何も処理が行われず、処理待ちになっている時は「アイドル、空運転中」を示す、灰色で表示されます(上図のように横軸が広い場合、処理時間が1分などの場合、全体が灰色に塗りつぶされて見えるので注意が必要です)。

今回のモデルでは分岐プロセス「008監査作業」に送り出し待ちが発生しています。これは、ボトルネックでしょうか?
確認すると、5件の案件が週の初めに一斉に定義されて、3つ監査チームに割る振る形のため2件の割り振り待ちが生じています。一方で、監査チームの監査(009、026、033)の後にある監査報告書の作成(013、030,037)のステータスは黄緑で赤い「送り出し待ち、詰み下ろし待ち」が発生していません。これは監査の業務が順調に下流側へ流れていることを示しています。仮に監査報告書の作成が監査より遅い場合には「送り出し待ち、詰み下ろし待ち」が発生するからです。また、5件の処理は2400分(1日8時間での週5日間勤務に相当)で終わっているため、大きな問題がないと判断できます。
逆に、監査チームの3つそれぞれが週の中頃より後(960分以降)に作業を行っていないため、処理能力には余裕があり、入荷する監査案件をさらに増やすことが可能であることが判明しました。それでは、業務量を倍の10件に増やして再度シミュレーションをしてみましょう。

今回も、前半の業務(監査、監査報告書の作成)は黄緑で、処理には問題がないことが分かります。一方で、入荷業務10件に対して出荷は9件で1件足りません。プロセスを確認すると10件目は(009、026、033)での監査作業は終わったものの、報告書の作成(013、030,037)での処理が週の業務終了(2400分時点)に間に合わなかったことが分かります。しかしながら、監査報告書の作成では週の最初の月曜日(最初の480分間)に作業が発生していないことが、ステータス推移から分かるため、来週の月曜日に持ち越して作業(置き場の初期仕掛で再現可能)を行えば、業務量としては問題なさそうです。

以上のように一旦モデルを作成することで、業務プロセスにボトルネックが発生していないか、業務量が適切であるかどうかをシミュレーションで即座にいつでも確認することが可能です。

まとめ

今回はISO9001に従った会社の監査プロセスをサンプルにassimeeでモデルを作る方法について解説しました。このようにassimeeでは製造業や物流以外にも様々な分野の業務をモデル化してシミュレーションや最適化を行うことが可能です。

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