概要
今回の記事では生命保険の契約時の引受査定業務をサンプルにモデルを作成し、ボトルネックの探索を行います。分かりやすくするため、モデル作成の際に意図的に1つのプロセスの処理時間を長くすることで、ボトルネックをあらかじめ仕込んでいます。これに対して、assimeeを使ったボトルネックの発見するための分析やボトルネックの解消を行います。*サンプルモデルなので実際の保険の審査業務とは内容が異なる場合があるのでご注意ください。
モデルの作成
今回作成したモデルは以下のようになります。大きく分けて保険契約の申込書の環境査定を行う部分、健康診断書と健康状態告知書を使った医務査定の結果を行う部分、両者の結果から保険契約の是非を判定する部分から成っています。
各部分について回単に解説します。
1.環境査定部分
この部分では顧客の環境査定を行います。申込書をデータ送信した後、環境査定を行います。査定結果に応じて審査に行くフローと顧客に差戻を行うフローをループ(点線部分)再現しています。
2.医務査定部分
この部分では顧客の医療情報の査定を行います。申込書と同時に提出する健康診断書と健康状態告知書をそれぞれデータにした後、医務査定を行います。査定結果に応じて審査に行くフローと顧客に差戻を行うフローを再現しているのは環境査定とおなじですが、健康診断書のスキャンとデータ入力を業務をして追加しており、この内、データ入力の処理時間を「20分」と意図的に長くすることでボトルネックを仕込んでいます。
3.審査部分
最期に「契約申請」以降に審査書類の収集と契約審査、審査結果の提出部分のプロセスを配置し設定します。審査後は「審査結果振分」で「契約成立」と「契約不成立」の2つのルートへ分岐します。「契約成立」側に審査合格書類を分けて契約書を送付する処理、「契約不成立」側は契約不成立の処理を行うプロセスを追加してモデルの作成は終了です。
シミュレーションとボトルネックの分析
今回はフィードバックを複数含むやや複雑なモデルとなりましたが、プロセスの配置と設定が行われていれば、ダッシュボードから「累積生産推移」、「生産推移」、「生産数」、「ライン別生産数」を選ぶと以下のようなシミュレーション結果が表示されます。今回はシミュレーション時間を8時間に相当する480分としています。
*検品プロセスでの不良品発生には乱数を使用しているため、シミュレーション結果が必ずしも下図とぴったり一致しないことに注意してください。
ボトルネックの発見のために下流から分析を行います。まず、環境査定と医務査定の2つの結果を使う「015契約申請」のアイテム数推移(下図)を見てみます。これによると環境査定結果の数は医務査定の結果より多いこと、契約書類の数が医務査定の結果の数に重なっていることが分かります。環境査定結果の処理能力は現状では余裕があるものの、医務査定の数に契約書類の数が依存していることから医務査定のプロセスがボトルネックになっていることが分かります。
次に医務査定を構成する、健康診断書と健康状態告知書のアイテム数をそれぞれ「035健康診断書リスト」と「055健康状態告知書リスト」の在庫数から調べ、どちらの処理がボトルネックになっているかを調べます。
*「015契約申請」の場合と異なり、組立プロセス「036医務査定」の前には置き場があります。この場合、組立処理に必要な分を毎回置き場へ取りに行く形で処理されるので、組立プロセスではなくその前に置かれている置き場のアイテム数を見に行く必要があります。
上図が健康診断書のアイテム数と健康状態告知書のアイテム数となります。これを見ると健康状態告知書の在庫の方が健康診断書より多くなっています。契約審査には健康状態告知書と健康診断書が1つ必要なため、健康診断書の処理の遅さがボトルネックになっていることが分かります。そこで、「034データ入力」の処理時間を20分から1分へ変更して再度シミュレーションを行い、差を見てみましょう。
上図が、処理時間を変更して再度シミュレーションを行った結果となります。ボトルネックになっていた健康診断書のデータ入力の処理時間を短く変更したことで、処理ができる健康診断書の数が健康状態告知書と同じくらいまで増加しました。これにより、健康状態告知リストの在庫数が減少し、医務査定の結果が増えることで、処理できた契約書の総数(成約済契約書+審査落契約書)が13から27まで増加したことが分かります。このようにassimeeでシミュレーションを行うことで、プロセスのボトルネックを見つけ対策を打つことで、全体の処理効率の向上を図ることができます。
まとめ
今回の記事では生命保険契約時の査定業務をサンプルにモデルを作成し、シミュレーション結果を分析してボトルネックを探索、解消しました。このようにassimeeでは、多彩なプロセスカードの配置とパラメーター設定が可能なので、物流ラインや製造ラインだけでなく、今回のような査定業務やプラントなど、大小様々なプロセスのモデルを作成することができます。また、assimeeを使うことで、シミュレーション結果を分析して、ボトルネックを発見し、業務プロセスの改善や効率化を行うこと、業務プロセスのDX化を手軽に何時でもどこでもPC上で行うことが可能となります。