概要
近年言われている物流の2024年問題では、製造業、物流共に出荷用の荷物を時間通りに出荷スペースに用意することが求められています。一般的な倉庫では毎日の出荷量が異なるため、人員の調整業務が常時発生しています。これまでこの業務は熟練の担当者が、経験や勘に基づいて手配を行なっていました。しかし、熟練の担当者が不足する中、仮に人員数を過小に手配してしまうと、荷物の出荷準備に遅延が生じてしまい大きな問題となります。assimeeでは出荷する荷物の量の変動に対して、常に業務のシミュレーションや人員数の最適化を行うことができるので人員計画業務の標準化や効率化が可能です。
モデル
今回使用するモデルは以下の図のようになります。
出庫(入荷)した商品を3つの販売店向けに仕分けして梱包し、出荷するだけのシンプルなモデルです。このモデルに対して、出荷目標を複数回変化させ、対応するようにピッキング業務の人の最適化を行い、出荷目標の変化に対して人員数がどう変化するのかについて解説していきます。
シミューレーションと人の最適化
人の最適化では「005A向けピッキング」、「010B向けピッキング」、「015C向けピッキング」の作業人数を最適化することにします。最初の状態を確認するため、3つのプロセスの作業人数を1人としてシミュレーションを行ってみます。また、ピッキング作業では3つの品目(日用品、飲料、レトルト食品)をピッキングする設定となっています。今回は3つしか使用していませんが、品目数やその組み合わせ、数量を変えることで多彩なシミュレーションを行うことが可能となります。
シミュレーション結果は上図のようになりました。A向け、B向け、C向けに対して720分(12時間)で40個ずつのパレットが出荷されています。また、「005A向けピッキング」、「010B向けピッキング」、「015C向けピッキング」の稼働率を見たものが右側の図で、どのプロセスも100%の稼働率となり、ここがボトルネックとなり以上出荷を増やす余裕はないことが分かります。
この状態を初期状態として、出荷目標を720分で40個から変化させて人の最適化を行い、「005A向けピッキング」、「010B向けピッキング」、「015C向けピッキング」の作業人員数の変化を見ていきましょう。
出荷目標
以下のように月曜日から金曜日までの想定で1時間当たりの出荷目標を設定します。()内は12時間での出荷量です。今回の記事では12時間の間、同じ量の出荷目標となっていますが、変更することも可能です。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
A向け | 30(360) | 50(600) | 10(120) | 55(660) | 70(840) |
B向け | 30(360) | 40(480) | 65(780) | 42(504) | 24(288) |
C向け | 30(360) | 25(300) | 60(720) | 33(396) | 80(960) |
設定した出荷目標に従って人の最適化を行います。モデルが既にある場合、この作業に10分程度しか要さないので、前日に急遽出荷目標が変わったような場合でも十分に対処することが可能です。
人の最適化の結果
人の最適化を行うと以下のように結果が得られます。出荷目標を達成するように人員数が変更されています。
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
5日間の結果を表にまとめると以下のようになります。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
005A向け ピッキング | 7.70 | 12.77 | 3.35 | 13.11 | 17.70 |
010B向け ピッキング | 8.86 | 9.86 | 17.39 | 10.01 | 6.09 |
015C向け ピッキング | 7.51 | 6.85 | 14.88 | 8.76 | 24.67 |
合計人数 | 24.07 | 29.48 | 36.62 | 31.88 | 48.46 |
やや、ずれがある日もありますが、おおむね一致していることが分かります。このように5日分の出荷目標から対応する人員数を決める業務を簡単に行うことが出来ました。assimeeでは作業能率の異なるベテランと新人が混ざって作業をするような場合など、より複雑な条件でシミュレーションや最適化を行うことが可能なので、今後、それぞれの解説記事を用意する予定です。ご期待ください。
まとめ
今回は販売店向けの出荷を行う物流現場をモデルに、発送のための業務を行う人の最適化を行う方法を解説しました。assimmeを使うことで、作業に必要となる人員数を簡単かつ素早く計算することが可能です。物流の2024年問題が深刻化し、人員リソースが限られる中で、業務への割り振りを考えたり、割り振り案をシミュレーションで検証することがより重要になると考えています。