CO2排出量計算機能の解説

概要

近年、地球温暖化が叫ばれる中、その原因と考えられるCO2など温室効果ガス(GHG)の排出量を減少させようとする取り組みが広がっています。代表的なものは、企業などから排出されるCO2の量と植林や排出権の取引等CO2を吸収させる量を同量とする取り組み(カーボンニュートラル)と、国単位で温室効果ガスの排出量を自助努力で削減し、パリ協定の目標を達成しようとする取り組み(ネットゼロ)です。このためには排出するCO2の量を知ることとが不可欠となっています。今日はCO2の排出量計算の概要と、CO2排出量を概算するassimeeの新機能について解説します。より詳細なカーボンニュートラルに関する情報は以下のHPで解説しています。

assimeeを使ったCO2排出量の概算

Scope1とScope2

assimeeの新機能ではScope1とScope2のCO2排出量を計算することが可能となっています。まず、以下のようなサンプルモデルを用意して通常のシミュレーションを行ってみましょう。

次の図は300分のシミュレーションを終了したところです。この画面から「カーボンニュートラル」ボタンを選択します。*この時に設定したシミュレーション実行時間はCO2排出量計算時にも使われます。

以下の画面はassimeeに新規に実装されたCO2排出量計算のための画面が立ち上がったところです。

「CO2排出量を計算」ボタンを押して、計算を使うためにはScope1と2の計算を行うための設定を行います。設定は

1.電力としてのエネルギー消費(自家発電と電力購入)
2.燃料としてのエネルギー消費

の2つの項目があります。

左上の購入電力を選んでください。これは電力小分類から大手電力会社を選択(CO2係数は自動で選択されます)できる他、その他を選択することで新電力を選ぶことも可能(電力会社から提供されるCO2係数の入力が必要です)となっています。ここでは東京電力(デフォルト設定)を選択しました。
Scope1の自家発電を設定するためには、大分類で燃料性発電機、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電から選択します。ここでは燃料性発電機を選択した上で、例としてCO2係数は0.0007を入力しています。最後に購入電力と自家発電の割合を設定します。ここでは50%ずつと仮定しました。

入力が終わると、Scope1やScope2の排出量が反映される状態になります。次に各プロセスの燃費や電力消費量の設定を行います。ここでは対象として「003加工」が表示されています。排出量は各プロセス別に計算されています。ここでは加工プロセスのカタログ消費電力を100kWとします。

今回の設定では
・シミュレーション時間(稼働時間)は300分
・加工プロセスの平均稼働率50%

となっており、加工プロセスのScope1(発電機分)の排出量は0.09トン、Scope2の排出量は0.05トンと出力されます。

次にScope1の燃料消費分を計算に上記に加えます。下段の表の燃料直接使用の欄に燃料消費の数値を設定します。今回は、加工プロセスで軽油を0.01キロリットル/hの燃費で使用すると仮定します。
燃料種別で軽油を選択し、燃費に0.01を入力することで、下図のようにScope1の直接使用の欄に0.06トンの値が表示され、合計が0.15トンとなります。これにより、今回使用したモデルの300分の稼働に対してScope1の排出量の合計が0.24トン、Scope2の排出量の合計が0.11トンと計算できました。

ダッシュボードに戻ると結果が表にまとめた形で表示されます。また、通常のシミュレーション結果と同様に、ダッシュボードのサマリーから希望するグラフを選んで、下図のように表示されることが可能です。

Scope3

Scope3は最も複雑な計算が必要なだけでなくユーザー側の入力準備が必要となります。現在assimeeではScope3の中でも物流倉庫や製造現場における材料・製品の輸送、従業員の通勤に関するカテゴリーに絞って実装されているので、別途解説します。

まとめ

以上のように新機能としてプロセスシミュレーションに対応してScope1と2のCO2排出量の概算をすることのできる機能がassimeeに実装されています。昨今の環境意識の増加で、今後の企業活動において、ますますCO2排出量の計算と公開、削減が重要視される可能性が高まっています。assimeeでは物流倉庫や製造現場のプロセスで排出されるCO2を手軽に計算できるため、効果的な排出量削減に役立ちます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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