物流で存在感を増す自動倉庫とassimee

概要

最近、物流業界や製造業で存在感を増している自動倉庫について概略を解説します。

自動倉庫の歴史

自動倉庫は1960年頃に登場しました。垂直方向に移動するクレーンとエレベータを利用した自動収納・自動取り出しシステム(AS/RS、Automated Storage and Retrieval System)と1950年代にすでに登場していた自動誘導車(AGV、Automated Guided Vehicle)とを組み合わせて運用することで高い収納密度で倉庫内の荷物を管理することが可能となりました。こうすることで、従来、棚の両側に必要だったフォークリフトや人が入るための通路が不要になり倉庫のスペースを有効に活用できるほか、省力化が可能となりました。その後、1980年代にロボット台車やシャトルが倉庫の棚を上下左右に移動し、荷物の収納や取り出しを行うシャトルシステムや、1990年代以降のロボット技術やAIの進化によりピッキングを行うピッキングロボットやAGVの自律移動が可能となったことなど、自動倉庫の作業効率は更に向上しています。最近では、飛行するドローンを荷物の出入庫に使う自動倉庫など更なる進化が続いています。

自動倉庫の管理システム

自動倉庫は管理システムにより倉庫内の材料の状況をリアルタイムで管理するほか、自動化された機器やロボットの制御を行っています。常に商品や部品の場所と数を把握しているため、効率的なピッキングや収納指示を出すことや、作業履歴や在庫レポートなどを自動で作成することもできます。フィルフィルメントセンターでは管理機能に加えて、オーダーマネジメント機能が備わっており、受注や出荷、請求、発注などすべての業務を自動倉庫内で完結することが可能となっています。

自動倉庫の搬送装置による分類

スタッカークレーン式

現在もっとも一般的で多業種で利用されている方式で、スタッカ―クレーンと呼ばれる垂直方向に移動できるクレーンが倉庫内の複数の棚にアクセスする方式です。クレーンは床や棚の上端などに取り付けられたレールを使って水平方向へ移動することができます。一般的に荷棚はクレーンの両側に1列ずつ配置され、クレーンは2列の棚にアクセス(シングルディープ方式)しますが、両側に2列づつ配置し、一度に2つの列にアクセスするダブルディープ方式や棚の両側に2台のクレーンを配置しアクセス効率を1.5倍へ向上させたデュアルクレーン方式などがあります。また、従来の冷凍食品用以外にも冷蔵食品用、極寒地における保温仕様、鋼材など長尺物に対応した仕様、紙やフィルムなどのロールものに対応した仕様、可燃物や爆発物に対応した危険物仕様、半導体や精密機械、医薬品用のクリーンルーム仕様、油や粉塵へ対応した仕様など、用途に応じて様々な仕様が登場しています。

回転棚式

荷物を積載した保管用の棚が回転する方式です。棚が水平に回転するタイプと垂直に回転するタイプがあります。どちらの場合も荷物の積み下ろしを正面に設置されたエレベータで行うため、作業者が棚の間を歩き回る必要がなく省力化が可能となるほか、作業者が取る必要がないため床から天井までスペースを有効に活用することが可能です。この方式は頻繁にピッキングを行う部品などに採用されている方式です。

シャトル式

荷物はそれぞれの段に設置された保管レーンと呼ばれる部分で保管されます。荷物はそれぞれの段ごとに設置され、行き来するシャトル台車を使って水平方向へ移動し、垂直方向の移動は垂直搬送リフターが行います。シャトル台車方式では一般的に使われている荷物の入庫と出庫を同じ出入庫システムが行うFILOモデル(先入れ後出しモデル)と2系統の入出庫システムを使うことで、片側から荷物を入れつつ、片側から荷物を出すことを同時に行うことの出来るFIFOモデル(先入れ先出しモデル)などのレイアウトが可能となっています。保管レーンの性質上、少品種大量保管と高頻度の出入庫を行う飲料倉庫などに向いている方式です。

リトリーバ式

高速で保管棚の間と入出庫口を移動しリトリーバと呼ばれる装置を使ったもので、荷物の保管とピッキングを容易に行えます。また、出入庫口が複数存在しており同時複数出入庫が可能となっています。ピッキング頻度の高い自動車や建設機械などの部品倉庫、電機製品の組立部品のピッキング作業などに用いられています。

自動倉庫の建て方や格納物による分類

ユニット式

従来の倉庫内に自動倉庫のシステムを設置する方式です。

ビル式

建物として自動倉庫が自立する方式で、自動倉庫の棚に壁と屋根を付けたものに近い方式です。

パレット式

一般的な収納方式で、規格化された「パレット」と呼ばれるプラスチックや木製の板、あるいは「ボックスパレット」と呼ばれる機械部品用の籠状のパレットに荷物を積載して扱う方式です。

ケース式

少量多品種の不定形な製品や部品を「樹脂コンテナ」、「段ボール」、「トレイ」などケース単位で扱う方式です。

自動倉庫の課題

このように効率的な在庫管理が可能な自動倉庫ですが、いくつもの課題が存在します。以下はその一例となります。

  • 高コスト

自動化技術やロボットを多数導入するためコストが高くなります。また、導入のためのシステム設計などにもコストが必要です。

  • メンテナンスと故障対応

自動機器が故障した場合、運用停止や効率低下につながる可能性が高まります。また、作業員に対する教育や運用のノウハウ化が必要です。

  • 柔軟性の欠如

導入時の条件(入荷速度や出荷速度、新商品の導入など)が変わった場合、柔軟に対応することが難しい場合があります。

まとめ

今回の記事では近年活況を呈している自動倉庫の概要とその特徴、課題についてまとめました。物流業界の将来の人手不足が予想される中、今まで以上に自動倉庫の重要性は増していくと考えられます。assimeeは自動倉庫の運用や拠点間物流などもPC上で手軽にシミュレートすることが可能なため、自動倉庫が抱える課題解決に役立ちます。