複数人で複数の共同作業をランダムで行うモデル

概要

先週の記事に引き続き、複数の作業者が複数の共同作業を柔軟にこなす現場のモデルを作成します。実際の現場では、状況やタイミングに応じて1つの作業を1人で行う場合もあれば、ヘルプが入るなど複数人が協力して作業を行う場合もあり、作業内容や負荷に応じて柔軟な人員配置が求められます。特に繁忙期や人員が限られている状況では、作業者自身がその時々で最適な作業を選択し、自発的に対応するような運用が行われるケースも少なくありません。今回の記事では、複数の作業者が、それぞれランダムに自分の担当する作業を選び、単独で作業を行うこともあれば、他の作業者と共同で作業を行うこともあるという、実際の現場に近い動的な作業の振る舞いをモデル化し、シミュレーションを行いました。

モデル

今回用意したモデルは下図のとおりです。

図:モデル

今回作成するモデルでは、作業者Aと作業者Bの2名が、3種類のピッキング作業をランダムに担当する現場の様子を再現し、実際の現場でよく見られる「作業者が自律的に作業を選び、時には単独で、時には共同で作業を行う」といった柔軟な働き方をシミュレーションします。

モデルに含まれるピッキング作業と設置
  • 品目1ピッキング
     作業者A:1個あたり 30秒 / 作業者B:1個あたり 36秒
  • 品目2ピッキング
     作業者A:1個あたり 30秒 / 作業者B:1個あたり 36秒
  • 品目3ピッキング
     作業者A:1個あたり 30秒 / 作業者B:1個あたり 36秒

いずれも、品目ごとに30個ずつピッキングした時点で作業が完了します。

動作条件
  • 作業者は、3つのピッキング作業のいずれかにランダムに参加します。
    → よって、ある作業は1人で行われることもあれば、2人で分担されることもあります。
    → ピッキング作業を終えた作業者は、まだ完了していない別の作業に移動し、作業を続けます。
  • 1セット=品目1〜3を各30個ずつピッキング完了することで完了とし、出荷処理を行った上で、次のセットへ移行します。

このように、作業者が状況に応じて動的に作業に加わり、現場の流動的な作業割り当てや作業の重複発生、作業の切り替えタイミングなどを自然に再現できるのが、本モデルの特長となります。

モデル実装上のポイント
  • 共同作業への動的参加管理
    → 3つの作業のうち、どの作業に参加するかはランダムに決まります。
  • ピッキング作業の作業カウント管理
    → 各作業者の仕分け作業実績を追跡し、それぞれのピッキング作業の処理数が30個に達したら作業の終了判定を行います。
  • 作業フェーズのループ設計
    → 3つのピッキング作業終了でワンセットが終了し、終了処理を行った上で、次のピッキング作業が始まるよう設計します。これにより、現場の実際の繰り返し作業サイクルを再現できます。

シミュレーション

モデルの作成が終了したら、シミュレーション時間を300分に設定して、シミュレーションを行います。下図はみみゅレーションの結果となります。累積生産推移を見ると、1時間あたり、2セットの作業が行われていることがわかります。

図:シミュレーション結果

次にピッキング作業の作業履歴を確認するためにステータス推移を見てみましょう。

図:ステータス推移

ステータス推移を確認したところ、本モデルは想定通りの挙動を示していることが確認できました。主な観察ポイントは以下の通りです。

  • 作業者AとBは、それぞれランダムに3つのピッキング作業のいずれかを選択し、参加していること。また、両者が同じ品目のピッキング作業に同時参加するケースもあれば、別々の作業を選んで並行して作業を進めるケースもあり、ランダム性に基づいた自然な分散が再現されていること。
  • あるピッキング作業を終えた作業者は、未完了の残りの作業にランダムで参加し、作業を継続していることが確認されました。これにより、作業者が動的に作業を切り替えていく現場の流れが表現されていること。
  • 3つのピッキング作業がすべて30個ずつ完了したタイミングで、1セット分の出荷処理が行われ、その後作業カウントがリセットされて次のセットへ移行するという一連のフローが正しく動作していること。
  • 複数セットにわたって作業が繰り返し実行されており、モデルが継続的な作業フェーズのループ処理を実現できていること。

以上のことから、本モデルではランダムな作業選択・共同作業の成立・進捗に応じた動的な作業遷移・繰り返しサイクルの管理といった、想定した現場に近い挙動を的確に再現できていることがわかります。できていることが確認できました。

まとめ

今回の記事では、複数の作業者が複数のピッキング作業を完全にランダムに担当する現場モデルを作成し、その動きをシミュレーションによって検証しました。assimeeでは、用意されているプロセスカードを柔軟に組み合わせることができるため、複雑なロジックや作業ルールも直感的に再現可能です。これにより、実際の現場に近い形でライン構成や作業の流れをモデリングすることができます。また、一度構築したモデルをもとに、作業設定や作業者の割り当てを自由に変更しながら、現場の状況や改善案をシミュレーションで検証できます。これにより、作業の進行状況やボトルネック、作業負荷の偏りなどを可視化し、現場改善に役立てることができます。さらに、assimeeは専門的な知識がなくても誰でも簡単に操作できる高い操作性を備えており、シミュレーションの作成から実行までをスムーズに行えるのが大きな特長です。これにより、現場の再現だけでなく、改善活動や検討業務の効率化にも大きく貢献します。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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