タスクを工数に分解して管理するモデル

概要

最近の作業現場では、働き方改革の影響もあり、午後のみや1時間単位といった柔軟な勤務形態が増えています。その結果、作業者数が時間帯ごとに変動する現場が多く見られるようになりました。
しかし、このような現場をモデル化しようとすると、従来のシミュレーション手法では対応が難しい場面が出てきます。たとえば、1時間あたり複数回行われるピッキング作業のようなケースは問題なく扱えますが、グループ単位で1つの作業を行い、その内特定の時間帯だけ参加する作業者が存在する場合は再現が難しくなります。
そこで、今回の記事では、こうした状況に対応するためのシミュレーション手法をご紹介します。具体的には、加工作業(タスク)を工数単位に分解し、時間帯ごとに作業人数を柔軟に変更しながらシミュレーションを行う方法を解説します。これにより、より現場の実態に即したモデルを作成することが可能になります。

モデル

今回使用するモデルは以下のとおりです。

今回は比較的シンプルなモデルを使用しています。モデル内では、入力された加工作業が「002工数分解」プロセスによって工数単位に分解されます。分解された工数は「003 工数プール」に蓄積され、「005作業者A」と「009作業者B」が順次この工数を処理していきます。処理済みの工数はカウントされ、最終的に作業結果として再構成されます。

今回の仮定条件は以下のとおりです:

  • 「005作業者A」はフルタイム(300分間)連続して作業を行う。
  • 「009作業者B」は 300分間のうち、最初の120分間は作業に参加せず、120分からの180分間作業に参加する。
  • 実行する加工作業は1件、必要な工数は400、1工数あたりの作業時間は1分とする。

このような設定により、タスク実行中に作業者数が増減する状況を、シミュレーション上で簡単かつ柔軟に再現することが可能となります。

シミュレーション

モデルを作成したらシミュレーションを行います。今回は300分でシミュレーションを行いました。

想定どおり、1 件のタスクが正常に実行され、完了しています。次に、作業者 A および作業者 B が処理した工数の時間推移を確認してみましょう。

設定どおり、作業者Aは開始時点(0分)から作業に参加し、作業者Bは作業開始から120分後に参加しています。続いて「003工数プール」と「006 仮置き場」の状況を見ることで、全体の工数消費と完了した工数の時間推移を把握してみます。

シミュレーション開始後しばらくは、作業者Aが単独で作業を進めており、工数は一定ペースで消費されていきます。120分経過後、作業者Bが加わることで消費ペースが加速し、最終的に260分時点で全工数が消費されたことが確認できます。
この結果から、1件のタスク実行中に作業者数が変化するケースを、シミュレーション上で正確に再現できていることが明確にわかります。

まとめ

今回の記事では、加工プロセスを工数単位に分解することで、柔軟な処理を実現する方法をご紹介しました。assimeeのプロセスカードを効果的に組み合わせることで、タスクに対する作業者数を柔軟に変更しながらシミュレーションを行うことが可能になります。ただし、この方法を活用する際には、対象のプロセスが工数単位に容易に分解できる場合に限られる点には注意が必要です。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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