ハカマ(袴)は製造業や物流業で使われています。どちらでも作業効率を向上させる重要な役割を果たしていますが、用途や素材に違いがあります。
製造業におけるハカマ
製造業におけるハカマは、ワークの安定保持や加工精度の向上、搬送時の固定具として使用される補助具のことです。主に以下の用途で活用されます。
加工・組立工程でのワーク固定
切削加工、溶接、塗装などの工程では、ハカマを用いることでワークを適切な位置に保持し、加工精度を向上させます。例えば、切削加工では振動を抑え、塗装工程では均一な仕上がりを実現できます。
自動搬送・組立ラインでの位置固定
コンベヤやロボットアームを活用した自動化ラインでは、ワークの位置ずれを防ぐためにハカマが使用されます。これにより、組立や搬送の精度が向上し、生産効率が最適化されます。
成形・プレス加工での高さ調整
金属や樹脂の成形・プレス加工では、ハカマをスペーサーとして使用することで、均一な圧力をかけるなどの役割を果たします。
物流業におけるハカマ
物流業においては、ハカマはパレットの下に設する補助具や、荷物の安定性を向上させるためのスペーサーを指し、主に以下のような目的で使用されます。
パレット用ハカマ
パレットの下部に取り付けることで、フォークリフトのツメが差し込みやすくなり、荷役作業をスムーズにする役割を持ちます。特に、段ボールパレットや紙製パレットなど、強度が低いパレットでは、ハカマを取り付けることで強度を補強し、安定した搬送を可能にします。
現在、日本国内の物流ではハカマが一体化されたプラスチック製パレットが多く使われており、パレットといえばハカマ付パレットともいえます。一体化によりパレットの強度が向上し、繰り返し使用しやすくなるなどのメリットがあります。
荷物の積載安定用ハカマ
商品の輸送や保管時に、荷物の底部にハカマを挟むことで、荷崩れを防ぎ安定性を向上させます。特に、重量物や大型製品の輸送では、ハカマを用いることで荷物の固定を強化し、破損リスクを低減できます。現在ではパレタイゼーションが進み、パレット(ハカマ付パレット)が使われることが多くなっています。
製造業と物流業でのハカマの違い
製造業におけるハカマは、ワークの固定や加工精度の向上、搬送の安定化を目的として使用されるのに対し、物流業ではパレットの補助具や荷物の安定性向上のために活用されます。表にまとめると以下の通りとなります。
項目 | 製造業でのハカマ | 物流業でのハカマ |
---|---|---|
用途 | 加工精度向上、ワーク固定、搬送安定 | フォークリフト作業補助、荷崩れ防止 |
主な使用場所 | 切削・溶接・塗装・搬送・成形ライン | 倉庫、物流センター、輸送現場 |
主な素材 | 金属、樹脂、耐熱材 | 段ボール、プラスチック、木材、金属 |
目的 | 高精度な製造・加工のサポート | 物流の効率化と安全性向上 |