J-クレジットの使用

概要

取引で入手したJ-クレジットは持っているだけでは意味がないので、活用する必要があります。今回の記事ではJ-クレジットの活用手続きや活用先、活用できるクレジットの種類について解説します。

クレジットの活用手続き

購入したり認証を受けたJ-クレジットを使う場合、どんな活用目的であっても口座にあるJ-クレジットをJ-クレジット登録簿システムで「無効化」を行う必要があります。無効化とは、一度使われたJ-クレジットが再利用や再販売をされないようにするための手続きのことです。以下の図はJ-クレジット制度のHPに掲載されている活用手続きの図となります。J-クレジットの口座を保有していない場合は、口座を開設する以外に仲介業者を通じて販売、購入、無効化などを行うことが可能です。なお一旦無効化したJ-クレジットに対して修正や取消は出来ないので注意が必要です。

次にJ-クレジットの主な活用先について解説します。

J-クレジットの活用先

J-クレジットの活用とは「無効化」し、無効化通知書を入手したJ-クレジットを、任意の活用先にて活用手続きを行うことを言います。無効化通知書とは以下のように無効化されるクレジットの認証番号、CO2の量とエネルギー換算量、目的などが記載された証書となります。

代表的なJ-クレジットの活用先は以下の通りです。

  • 温対法での活用
    温対法で報告するGHG排出量の報告に単年度のクレジットを利用可能
    電気事業者の調整後排出係数を計算する際に活用可能
  • 省エネ法での活用
    省エネ法では省エネルギーによって発生したクレジットを共同省エネルギー事業の報告として利用可能(太陽光発電や森林吸収プロジェクト由来のクレジットは使用対象外)
    非化石エネルギーの利用に関する報告に非化石エネルギー由来クレジットのみ利用可能
  • CDPSBTRE100などのイニシアティブでの活用
    CDPとSBTでは再エネ電力や再エネ熱に由来するクレジットを、
    RE100では再エネ電力由来のクレジットを再エネ調達量として報告可能(自家発電由来のGHGには適用不可)
  • カーボン・オフセットへの活用
    現時点では経産省の主管するどんぐり制度など企業の環境貢献活動のPRやブランディングに利用可能
  • SHIFT事業(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)への活用
    SHIFTとは環境省の補助事業で、一般財団法人温室効果ガス審査協会を通して以下のような事業に対して補助が行われています
    ・意欲的な二酸化炭素排出削減目標を盛り込んだ脱炭素化促進計画を策定する事業(「脱炭素化促進計画策定支援事業」)
    ・意欲的な削減目標を盛り込んだ脱炭素化促進計画に基づき高効率機器導入や燃料転換を実施して二酸化炭素の排出量を削減し、排出量の算定及び排出枠の償却を行う事業(「設備更新補助事業」)
  • 経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成に活用
    1997年の「経団連環境自主行動計画」発表以降、温室効果ガスを削減するため、各業界団体が設定している自主的に削減目標
  • GXリーグにおける排出量実績の報告に活用予定
    GX-ETSへの活用を予定

報告可能なクレジットの由来や量は目的によって異なり、まとめると以下の表のようになります。

まとめ

今回はJ-クレジットの活用先と活用できるクレジットについて解説しました。クレジットはその由来によって使える先が限られる場合があるので、クレジットを購入する際はクレジットの活用目的と一致しているかを確認する必要があります。繰り返しになりますが、GX-ETSの義務化が行われる際にはクレジットの入手だけでなく、活用についても考える必要があるので、今のうちに活用のための情報を収集する必要があります。

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