製造

多能工のいる製造ラインを見える化し、作業員の動線を計画する

概要

近年の製造現場では、少量多品種生産や突発的な製品変更への対応力が求められており、その対応策として「多能工」の導入が進んでいます。多能工とは、1人の作業員が複数の作業工程を担当する形態のことで、柔軟な人員配置と作業効率の向上が期待されます。また、今回のモデルには多能工と併せて「みずすまし」と呼ばれる部品供給の仕組みも導入されています。みずすましは、製造ラインの各工程に必要な部品を必要なタイミングでタイムリーに運搬・供給する役割を担い、現場のスムーズな運用を支える重要な存在です。
今回の記事では、これら多能工とみずすましを組み合わせた生産体制や作業員の動線を、assimeeを用いてモデル化・シミュレーションする方法を解説します。

モデル構成

今回用意したモデルは、4種類の部品を供給し、それを加工・組立てて1つの製品を完成させる工程連結型の製造ラインで、以下のような特徴があります。

  • 部品供給工程(みずすまし):4種類の部品(部品A、B、C、D)をそれぞれ必要な工程へ供給
  • 加工工程(多能工A):供給された部品を順次加工。多能工Aは複数の加工ステーションを担当
  • 中間組立工程(多能工B):加工された部品を組み合わせて大きな部品を2つ作成(中間部品A、B)。こちらも多能工Bが複数の工程を担当
  • 最終組立工程:2つの大きな部品を組み立て、製品を完成

各作業者(多能工)は一度に1つの部品しか取り扱えないという制約の下で、作業時間の長い工程から優先的に処理するルールを採用しています。また、みずすましは入荷した部品を随時運搬しています。このようにして現実の製造現場に近い細かい条件を設定したモデリングを行うことができます。今回のモデルは以下のようになりました。

シミュレーション結果

このモデルを**480分(8時間)**のシミュレーション時間で実行したところ、以下のような結果が得られました。
まず生産数は以下の通りです。

次に各工程でやり取りされる部品や情報の流れを示したのが次の図となります。矢印は情報と品目のやり取り、加工工程の緑の棒グラフは稼働中を示します。このグラフにより多能工がいつどこで、どの作業を行なっているのかが一目瞭然となります。

最後に各多能工やみずすましなど作業員のステータスを確認します。これにより作業員が作業中であるか作業待ち(部品の入荷待ち)であるかなど作業員のステータスを確認することができます。

これらのグラフから以下のことがわかります。

  • 部品が計画通りに供給され、多能工によって順次加工・組立が進行
  • 各工程で優先順位に基づいた処理が正しく行われていること
  • 作業の流れがボトルネックなく進行しており、現場の稼働が効率的に実現されている様子を視覚的に把握可能

これにより、多能工とみずすましが適切に連携すれば、柔軟かつ効率的な生産体制の構築が可能であることが示されました。

まとめ

assimeeを活用することで、現実の生産現場に近い複雑な工程や役割分担を持つ生産モデルを柔軟に構築し、定量的なシミュレーションを行うことが可能です。

今回の例では、

  • 多能工の配置とその作業優先度の制御
  • みずすましによる部品供給の動きの反映
  • 全体の工程連動

といった要素を忠実に反映した上で、現場に潜む待ち時間やバランスの偏りを可視化することができました。このようなシミュレーションは、少量多品種・変種変量生産のような高度な現場運営において非常に有効であり、改善活動に活用することができます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化したシミュレーションや、既存のVSM(バリューストリームマップ、物と情報の流れ図)を活用した直接的なシミュレーションが可能です。これにより、製造プロセスの「見える化」を実現し、潜在的な課題を明確にすることができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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