製造

分業型セル生産方式の生産ラインの構成を効率化する

概要

製品の組立工程が増えたり、一部の作業に時間や負荷が集中したりすると、1人で全工程を担当するセル生産では次のような課題が顕在化します。

  • 特定工程がボトルネックになりやすい
  • 作業者の負荷が偏り、ムリ・ムラが発生する
  • 生産量を増やしたくても、改善の打ち手が限られる

このような場合、1つのセルを複数人で分担する「分業型セル生産方式」が有効な選択肢となります。
今回の記事では、1つのセルを2人の作業員で分業するケースを想定し、モデルを作成します。

  • 作業をどのように分割するのか
  • 作業者ごとの役割が工程の流れにどう影響するのか
  • 仕掛品の滞留や待ち時間はどこで発生するのか

こうしたポイントを、モデル化とシミュレーションによって「見える化」することが
今回の記事の目的です。

モデル

今モデルの基本構成

本モデルでは、セル内の工程を5つの組立プロセスと1つの検品プロセスに分解します。これらの工程を、2人の作業員が分担して担当する構成とします。

作業員A

組立プロセスを3工程担当

作業員B

組立プロセスを2工程担当
検品プロセスを担当

作業内容をこのように分割することで、「どの作業が誰の負荷になっているのか」を明確にしたモデルとしています。

作業の進め方に関する前提条件

本モデルの重要なポイントは、作業員Aと作業員Bがそれぞれ独立して作業を進めるという点です。

  • 作業員Aは、自身の担当する組立工程を順に進める
  • 作業員Bも、自身の担当する組立および検品工程を順に進める
  • 作業員Aは、作業員Bの作業終了を待たずに次工程へ進行する

つまり、セル内に複数の作業者が存在しますが、作業タイミングを強制的に同期させない構成としています。

図:分業型セル生産方式のモデル

シミュレーションと分析

モデルを作成したら、シミュレーションを実行します。今回も前回の記事と同様に、シミュレーション時間を480分(8時間)に設定します。シミュレーションが終了すると、以下の画面が表示されます。*なお、パーツの仕分けなどに乱数が含まれるため、若干の誤差が生じる可能性があります。

図:シミュレーション結果

生産量が増加していることが確認できますが、2倍にはなっていません。どこかにボトルネックがあると考えられるため、確認のために「ステータス推移」と「中間置き場」の容量をチェックします。

図:ステータス推移

図:「中間置き場」の容量

「中間置き場」の容量を見ると、在庫量が右肩上がりで増加しており、作業員Bが担当するセルの下流工程で処理が追いついていないことがわかりました。

モデルの再変更

「011J-1中間置き場」に溜まった在庫を消費するため、作業員Bが担当していた下流工程に新たに作業員Cが担当するラインを追加し、下流工程を並列で動作させてみましょう。
以下のようにモデルを変更します。

図:セルの下流を並列化したモデル

この変更前は、「中間置き場」に初期仕掛けとして生産伝票Bを1個配置し、作業員Bが担当する後半部分の生産をコントロールしていました。しかし、新たに作業員Cが加わったため、新しく置き場を追加し初期仕掛け(生産伝票C)を配置するなど、プロセスの設定を変更します。これにより、作業員Bと作業員Cが担当するラインで、それぞれ1個ずつ製品が作られるように調整されます。

シミュレーション結果は以下の通りとなり、生産量は最初の18個と比べて倍の36個になりました。

図:モデルの再変更後のシミュレーション結果

「ステータス推移」を確認すると、作業員Bと作業員Cが担当するラインで製品が並行して組み立てられるようになったことがわかります。また、前半の材料入力に合わせて、それぞれのラインで1個ずつ製品が作成されるようになっていることも確認できます。

図:ステータス推移(モデルの再変更後)

まとめ

今回は、セル生産方式を改良し、複数人で分業するセル生産をシミュレーション(見える化)する方法について解説しました。このように、assimeeでは既存のモデルを基に、プロセスの追加や組み換えなど、さまざまな変更を容易に行うことができます。生産ラインの配置や、各作業員にいくつのプロセスを割り振るかなど、自由にラインを変更してシミュレーションし、結果を比較することが簡単に可能です。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化したシミュレーションや、既存のVSM(バリューストリームマップ、物と情報の流れ図)を活用した直接的なシミュレーションが可能です。これにより、製造プロセスの「見える化」を実現し、潜在的な課題を明確にすることができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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