概要
実際の生産現場では、「ある部品が揃わないと次の工程が始められない」といった生産開始に条件があるケースが多く見られます。たとえば、部品Aを先に作り、そのAを使って製品Bを組み立てるような順序制約がある場合です。このような場合、部品Aが揃って製品Bが生産が開始されるタイミングを知ることが、効率的な生産計画を立てる際に重要になります。今回の記事では、そうした条件付きの工程をassimeeでシミュレーションする方法をご紹介します。
モデルの構成
今回作成したモデルでは以下の通りです。

ひとつの工場内にサブラインとメインラインの2系統の生産ラインがあり、以下のような稼働条件があります。
サブラインの稼働条件
- 30分のライン立ち上げ時間を経て生産を開始
- 生産される部品は、50%:そのまま直接出荷、50%:メインラインへの供給用 の割合でランダムに振り分け(毎回結果が異なる要素)
- サブラインからメインラインに搬送する条件:部品が10個貯まったタイミング
メインラインの稼働条件
- サブラインで生産された部品が10個揃ったときに稼働開始
- 以降、サブラインから搬送される部品を使って製品を組み立て、出荷
このように、メインラインはサブラインの進捗に依存しており、サブラインからの供給される部品が一定数揃わない限り生産を開始できない、サブラインからの供給にはランダム性があり毎回結果が異なるという制約を再現しています。
シミュレーション結果
シミュレーションは480分(1日分の稼働時間)を想定して実行しました。


出力された生産数のグラフとステータスの推移を確認することで、以下のような動きが再現できていることが分かります。
- サブラインは立ち上げから30分後に稼働を開始
- 部品が順調に生産され、10個貯まった時点でメインラインが稼働を開始
- その後は、サブラインの生産状況に応じて、メインラインの製品組立と出荷が進行
assimeeの可視化機能により、「どのタイミングで何が起こったか」が明確に確認できるため、生産のつながりと依存関係を把握しやすくなり、メインラインが稼働開始になるタイミングで人員や部材を手配するなど、効率的な生産計画を立てることができます。
まとめ
このように、assimeeを使うことで「特定の条件が揃わないと次の工程に進めない」というような実際の工場で起こる複雑な生産制約をモデル化することが可能です。
特に、以下のようなシナリオにおいて有効です:
- 部品のストックが一定数に達してから製品ラインを動かす
- 前工程の進捗を見て後工程を起動する
- 条件付きの生産切り替えや同時並行生産
実際の現場では、こうした条件付き工程が日常的に存在し、それらを適切に管理・シミュレーションすることで生産の安定性と効率を高めることができます。assimeeでは、こうしたロジックを視覚的に、直感的に設定・確認できるため、これから生産計画の精度を上げたい企業様にも非常に有効なツールです。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。