製造

ロット単位での混流生産を再現する方法

概要

今回の記事では、プロセスシミュレーター assimee を使って、複数の製品をロット単位で交互に生産するモデルを再現する方法を解説します。工場では、製品の種類が多様化する中で、同じラインを複数の製品で共用する混流生産や一定数を連続的に生産するロット生産(あるいはバッチ生産)が一般的に行われています。
ロット生産は製品の切り替えには段取り替え(設備調整や治具交換など)が必要なため、同じ製品を一定数まとめて生産してから、別の製品へ切り替えることで段取り替え回数を減らすことができる生産方式です。たとえば、「製品Aを3個 → 段取り替え → 製品Bを4個 → 段取り替え → 再び製品A…」というように、ロット単位で生産を切り替えていきます。

この記事では、assimeeを使って以下の2パターンのモデルを構築した例を紹介します:

  • モデルA:ロット数が毎回同じロット生産
  • モデルB:ロット数をロットごとに変えられるロット生産

モデル

製造ラインの前提

本記事で扱う工場モデルは、以下のようなロット生産を行う製造ラインを想定しています。

対象製品:製品Aと製品B
工程構成:前半で部品加工、後半で組立 → 出荷
ライン共用:同じ組立ラインでA/Bを交互に生産
段取り時間
  製品AからBに切り替えるときの段取り替え時間:3分
  製品BからAに切り替えるときの段取り替え時間:4分

モデルA:ロット数が固定の場合

このモデルでは、製品Aは毎回3個ずつ、製品Bは毎回4個ずつ、というように、ロット数が毎回決まっているケースを再現します。モデルは以下の図の通りです。

モデルの構成とポイント
  • 情報カード(生産指示)を使って、ロットごとに生産制御
  • 加工・組立プロセスに対し、ロット単位の処理条件を事前定義
  • ループ構造により「A → B → A…」の繰り返しを実現

この方式は、毎回同じロット数で計画通りに生産するケースに向いています。

モデルB:ロット数が変動する場合

こちらは、製品AやBの必要数がロットごとに変化するケースを想定しています。モデルは以下の図の通りです。

モデルの構成とポイント
  • 情報カードの入荷量を変えることで、ロット数を柔軟に変更可能
  • ロット数だけでなく、生産停止や変更タイミングの調整も可能
  • 生産計画のCSV/時系列制御などと組み合わせることで、実運用に近い設定が可能

このモデルでは、例えば「今日は製品Aを5個、明日は3個」などの変動型ロット生産や、「段取り替えの都合で一時的に片側の製品だけ生産」といった柔軟なスケジューリングにも対応が容易です。

シミュレーション結果の比較

両モデルを用いて、1営業日(8時間 = 480分)のシミュレーションを行いました。
その結果を以下に示します。

モデルAの結果

  • ロット構成(固定):
    • 製品A:3個ずつ
    • 製品B:4個ずつ
  • 挙動:A → B → A → B… の順で、交互にロット生産を繰り返し

モデルAでは、ロットごとの切り替えが規則正しく行われており、計画通りのロット生産が再現されていることが分かります。

モデルBの結果

  • ロット構成(数は情報カードの入荷数設定画面で設定):
    • 製品A:5~20個
    • 製品B:10~20個
  • 挙動:入荷カードに応じて、生産順やロット数が柔軟に切り替え可能

モデルBでは、ロット数の変動や生産タイミングの制御が自在に行えるため、実際の生産計画を柔軟に再現することが可能です。

まとめ

今回の記事では、assimeeを使って複数製品を交互にロット生産する方法について、2つのアプローチを紹介しました。

  • モデルA:ロット数が固定で、繰り返しパターンが明確なケース
  • モデルB:ロット数が変動し、生産スケジュールも柔軟に変化するケース

assimeeでは、情報カードや入荷タイミングの制御を活用することで、現場の実態に即した生産計画のモデル化が可能です。生産の効率化や、計画通りのロット切り替えが実現できるかをシミュレーションで事前に検証することで、段取り時間の削減や滞留の発見、作業員配置の最適化などにつなげることができます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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