概要
工場では、勤務時間に応じてラインを稼働させたり停止したりする運用が一般的です。とくに、昼間の時間帯のみ稼働する1直体制の工場では、作業時間外に自動での稼働や仕掛かりの継続を行うかどうかなど、判断が必要になる場面も多くあります。シミュレーションモデルを正確に作成するには、作業時間終了直近の取り扱いを決めておくことが重要です。
今回の記事では、勤務時間に応じて工程の稼働を制限する方法について、assimeeを使ったシミュレーション例を通じて解説します。
モデルの構成
今回対象とするのは、部材を加工し、組み立てたうえで製品を出荷する一般的な工場です。
この工場では 平日の昼間のみ、1日8時間だけ稼働 し、それ以外の時間帯(夜間や週末)は作業を行わない前提でモデルを作成しています。具体的には、毎朝8時から稼働を開始し、16時に終了するという1直勤務のスケジュールに従って、各工程の作業者を配置する形です。
以下は、今回使用するモデルです。今回の記事ではパラメーターの異なる2つのモデルを使用します。

シミュレーション結果と運用パターン
モデルでは、営業日5日間(7200分)に相当する期間で2通りのシミュレーションを行い、生産数やステータスの推移からラインの稼働状況を確認します。
パターン1:処理時間が短い作業
1つの作業にかかる時間が短く、勤務時間内に十分収まる場合は、assimeeの「時間帯別の作業員設定」機能を活用するだけで対応可能です。設定例は以下の通りです。

この機能により、作業者が稼働している時間帯以外は自動的に工程が停止し、現実の工場と同様の制御が実現できます。以下がシミュレーションの結果例です。このモデルでは作業時間を(加工:6分、組立:12分、作業:5分)と設定しています。稼働時間帯以外は作業が停止していることがわかります。

パターン2:処理時間が長い作業
1回の作業に要する時間が長く、勤務終了時間にかかる可能性がある場合には、現場の運用に応じた対応が必要です。例えば:
- 残業として作業を完了させる場合:標準でシフト終了時に継続中の処理は続くように設定されているので、パターン1と同じモデルで再現可能です
- 自動設備で放置加工が可能な場合:1と同様に加工が始まっていれば、シフト終了後も処理が継続されます
- 一定時間を切ると作業を開始しない場合:こちらは材料の投入を制御して作業を止める必要があります。 このような制御は「情報カード」を使ったモデル構築によって実現可能です(詳細は別記事で解説予定です)。
以下がシミュレーション結果となります。このモデルでは作業時間を(加工:45分、組立:75分、作業:5分)と設定しています。作業員の所属している3つの工程が終了するタイミングが少しづつずれていることがわかります。これは作業時間終了後も仕掛かり途中の作業を処理し続けるためです。

まとめ
assimeeでは、実際の勤務体系に合わせて稼働スケジュールを設定したり、勤務時間終了間際の作業取り扱いといった設定を反映したモデル構築が可能です。作業時間の制限に合わせて工程の稼働を自動制御できるほか、残業・自動化・投入制限といったさまざまな現場の判断ルールも柔軟に再現できます。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。