概要
物流倉庫や工場の現場では、フォークリフトを使ってトラックに荷物を積み込む作業が日常的に行われています。特に、出荷や配送の直前工程として重要な役割を担っており、作業の遅れや手順の非効率が全体のリードタイムに大きく影響する場合もあります。
今回の記事では、assimeeを用いて、トラックへの荷物積み込みプロセスを再現するモデルを作成し、その動作のポイントについて解説します。assimeeに用意されている多彩なプロセスカードと柔軟な情報制御を活用することで、トラックの到着に応じてフォークリフトが動き出す現場の動きを、シミュレーション上で再現しています。
モデル
今回構築するモデルは、以下の通りで、1台のフォークリフトが1台のトラックに対して2回に分けて荷物を積み込むという現場の実情を想定しています。

モデルの流れ
- トラックが到着すると、積み込み開始の指示が出されます。
- 待機していたフォークリフトが荷物に向けて動き出し、荷物の半分をトラックに積み込みます。
- 積み込み後、一度フォークリフトは荷積み場所へ戻り、再び残りの荷物を積み込むことで作業が完了します。
- このサイクルを30分おきにトラックが到着するたびに繰り返します。
モデル設計のポイント
このモデルの設計で特に重要なのは、トラックの到着をトリガーにフォークリフトが動き出し、荷物が積み込める状態に制御される点です。具体的には、以下のような仕組みを構築しています:
- トラック到着を示す情報チケットを用意し、それに応じてフォークリフトに積み込み指示が送られ、荷物が積み込めるように切り替える。
- フォークリフトの積み込み作業は2回に分かれており、1回目と2回目の間には必ず中間戻り動作が入る。*モデルを変更することで、3回以上に分けることも可能です。
- トラック1台あたりに必要な作業時間やフォークリフトの待機時間も調整可能で、現実のスケジュールに即したシミュレーションが可能です。
このように、イベント駆動型の制御構造をassimeeの中で構築することで、実際の現場に近い処理フローを再現することができます。
シミュレーション
モデルを作成したらシミュレーションを行います。今回は8時間の稼働を想定しています。シミュレーション結果は以下の通りとなります。

次にステータス推移を見ることで、ボトルネックが発生していないか確認します。

ステータス推移を見ると、フォークリフトがトラックへ荷物を積み込む時間と荷物置き場と、積み込み場所の間の往復移動の時間の和(25分)がトラックの到着周期(30分)に比べて短いため、積み込み待ち(ボトルネック)などが発生していないことがわかります。
まとめ
今回の記事では、出荷トラックへの荷物積み込みという実際の物流現場や工場で頻繁に行われている作業プロセスを、assimeeを用いてモデル化し、シミュレーションする方法について紹介しました。assimeeでは、今回のような特定イベントをトリガーとする作業の自動実行や、複数ステップに分かれた工程の構築も柔軟に行うことができます。今回は単純なモデルを構築しましたが、空パレットの回収を入れたり、複数のフォークリフトを使った積み込み作業、荷物の運搬先を品目別に振り分けるなど、現場で実際に行われている作業をPC上に再現し、作業効率やボトルネックの検証を行い、現場の改善提案へとつなげることが可能です。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。