assimeeの応用ー監査業務モデルー

2023年11月1日公開

assimeeによるモデル作成方法やプロセスについてのより深い理解のため、この記事を読む前にモデル作成の基礎を解説している以下の記事を先にご覧いただくことをことをお勧めします。

監査業務モデルの作成

assimeeは製造業や物流だけでなく、様々な業務のフローを再現することが可能です。今回の記事ではISO9001で定義された会社の監査プロセスをサンプルにモデルを作成してみましょう。

今回のモデルは下図のようになります。

図:モデル

モデルの作成

モデルの前提

今回は以下のような設定となるようにモデルを構成し、設定を行います。

  1. 入荷量:5日(2400分)に5業務
  2. 稼働時間:1日当たり8時間稼働で5日(2400分)
  3. 監査チームを3つ用意
  4. 監査で不具合がある場合は再監査
  5. 業務量は1人当たりの量を推定して設定する(例えば、作業人数10人で処理時間60分とすると、プロセスは6分で動作します)

モデルの作成は以下の3つのブロックに分けて解説と設定を行います。

  • 準備ブロック
  • 監査ブロック
  • 報告ブロック

準備ブロック

準備ブロックは監査業務の発生からスケジューリング、監査用のチェックリストの作成業務を想定して以下の図のようにプロセスカードを配置します。

図:準備ブロック

入荷プロセス:
プロセス名を「000業務発生」へ変更、
詳細設定からパーツの入荷情報を入荷パーツ名を「監査業務」、間隔を「2400分」、個数を「5個」と以下のように設定

置き場プロセス:
プロセス名を「001内部監査リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

作業プロセス:
プロセス名を「002内部計画の作成と監査員の選定」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「003監査対象部門リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

加工プロセス:
プロセス名を「004監査スケジュールの作成」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査業務」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査スケジュール」、個数を「1個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「005監査チェックリストの作成」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査スケジュール」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「006監査チェックリスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「007監査作業」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定

分岐条件:
ランダムに設定(デフォルトのまま変更なし)

分岐先として3つのプロセスを設置:

検品プロセス:
プロセス名を「100監査Aチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

検品プロセス:
プロセス名を「110監査Bチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

検品プロセス:
プロセス名を「120監査Cチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

以降は監査ブロックで設定します。

監査ブロック

監査ブロックは実際の監査を行う部分で、今回は3つの監査チームを配置してそれぞれ監査と監査の報告書を作成する業務を想定して、以下の図のようにプロセスカードを配置します。シミュレーション後に監査に適合と不適合の件数が分かるように分岐を使って、適合と不適合を別々のリスト(置き場)に入れてから報告書を作成するように配置します。

図:監査ブロック

監査チームA

検品プロセス(再掲):
プロセス名を「100監査Aチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「101監査済チェックリスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「102判定」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定

分岐条件:
詳細画面の「分岐条件」右側のマークをクリックして編集画面を立ち上げ、以下のようにプロセスを送り先として配置し、条件を追加

分岐先として2つのプロセスを設置:

置き場プロセス:
プロセス名を「103適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「105不適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

条件1:
・送り先:103適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:正常
条件2:
・送り先:105不適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:不良

適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「103適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「104監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(適合)」、個数を「1個」と設定

不適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「105適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「106監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(不適合)」、個数を「1個」と設定

監査チームB

検品プロセス(再掲):
プロセス名を「110監査Bチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「111監査済チェックリスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「112判定」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定

分岐条件:
詳細画面の「分岐条件」右側のマークをクリックして編集画面を立ち上げ、以下のようにプロセスを送り先として配置し、条件を追加

分岐先として2つのプロセスを設置:

置き場プロセス:
プロセス名を「113適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「115不適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

条件1:
・送り先:113適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:正常
条件2:
・送り先:115不適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:不良

適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「113適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「114監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(適合)」、個数を「1個」と設定

不適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「115適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「116監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(不適合)」、個数を「1個」と設定

監査チームC

検品プロセス(再掲):
プロセス名を「120監査Cチーム」へ変更、不良品率を10%、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「121監査済チェックリスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「122判定」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定

分岐条件:
詳細画面の「分岐条件」右側のマークをクリックして編集画面を立ち上げ、以下のようにプロセスを送り先として配置し、条件を追加

分岐先として2つのプロセスを設置:

置き場プロセス:
プロセス名を「123適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「125不適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

条件1:
・送り先:123適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:正常
条件2:
・送り先:125不適合リスト
・分岐条件:パーツステータスが一致
・パーツステータス:不良

適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「123適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「124監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(適合)」、個数を「1個」と設定

不適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「125適合リスト」へ変更、容量を「1000個」と設定

組立プロセス:
プロセス名を「126監査報告書の作成」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査チェックリスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書(不適合)」、個数を「1個」と設定

6つ監査報告書の作成プロセスからは「300監査報告書の作成」へ合流させます。

報告ブロック

報告ブロックは監査全体の判定と、監査の適合ケースに対しては報告、不適合ケースに対しては改善策の作成と実施、改善策実施後の再監査の実施を想定して以下の図のようにプロセスカードを配置します。再監査は業務の再発生と想定して、監査スケジュールの作成までフローを戻すように配置しました。

図:報告ブロック

置き場プロセス:
プロセス名を「300作成済監査報告書」へ変更、容量を「1000個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「301監査報告書の検討」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定

分岐条件:
詳細画面の「分岐条件」右側のマークをクリックして編集画面を立ち上げ、以下のようにプロセスを送り先として配置し、条件を追加

分岐先として2つのプロセスを設置:

置き場プロセス:
プロセス名を「302適合」へ変更、容量を「1000個」と設定

置き場プロセス:
プロセス名を「312不適合」へ変更、容量を「1000個」と設定

条件1:
・送り先:302適合
・分岐条件:パーツ名が一致
・パーツ名:監査報告書(適合)
条件2:
・送り先:312不適合
・分岐条件:パーツ名が一致
・パーツ名:監査報告書(不適合)

適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「302適合」へ変更、容量を「1000個」と設定

加工プロセス:
プロセス名を「303報告書配布」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査報告書(適合)」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「監査報告書」、個数を「1個」と設定

作業プロセス:
プロセス名を「304報告」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定

出荷プロセス:
プロセス名を「305監査終了」へ変更

不適合側

置き場プロセス(再掲):
プロセス名を「312不適合」へ変更、容量を「1000個」と設定

加工プロセス:
プロセス名を「313不適合内容の是正措置要求書の作成」へ変更、処理時間を「60分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「監査報告書(不適合)」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「改善点リスト」、個数を「1個」と設定

加工プロセス:
プロセス名を「314是正措置の策定と実施」へ変更、処理時間を「480分」、作業人数を「1人」と設定、
対象パーツ名称を「改善点リスト」、個数を「1個」、
出力パーツ名称を「改善業務」、個数を「1個」と設定

分岐プロセス:
プロセス名を「315再監査」へ変更、処理時間を「1分」、作業人数を「1人」と設定、
既プロセスへ接続を使用し上流側の「004監査スケジュールの作成」へ接続

シミュレーション

モデルの作成のためのプロセスカードの配置が終了したら、モデル名を「監査業務モデル」に変更します。また、業務の件数が多くないため、ビニングが細かすぎると逆に分かりにくくなります。そのためシミュレーション結果グラフのビニングをデフォルトの「60分」から、下図のように、半日に相当する「240分」に変更します。変更したら、「シミュレーションモデルを保存」ボタンを押して保存します。

図:ビニングの変更

モデルの保存を行ったらシミュ―ションを実施します。今回はシミュレーション時間を5日の業務時間に相当する2400分に変更してシミュレーションを行います。シミュ―ションが終了すると以下のような画面が表示されます。*再監査の発生にランダム変数が含まれるため、シミュ―ション結果が一致しないことがあります。

このモデルでは5日間で5件の業務が発生していますが、ランダムで全件が再監査となり、0件と表示される場合があります。その場合は再度シミュレーションを実施してみてください。何回シミュレーションを行っても0件が表示される場合は、モデルに問題があると考えられるのでシミュレーションの設定を再度確認してください。

図:シミュレーション結果

まとめ

今回はISO9001に従った会社の監査プロセスをサンプルにassimeeでモデルを作る方法について解説しました。このようにassimeeでは製造業や物流以外にも様々な分野の業務をモデル化してシミュレーションや最適化を行うことが可能です。

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