生産ラインのバッチ処理を再現する

概要

複数の部品を一定数貯めてから一括で加工する加工方法を「バッチ処理(Batch Processing)」 や 「まとめ加工」 と呼びます。工場ではプレス加工や熱処理、洗浄工程などでよく利用されています。この処理方法は1つずつ処理する 「逐次処理(Sequential Processing)」 とは異なり、一定数がそろうまで待機する特徴があります。そのメリットとデメリットは以下のような点が挙げられます。

メリット
  • まとめて処理するため、機械の稼働効率が向上する。
  • 切り替えの回数が減り、セットアップ時間を削減できる。
デメリット
  • バッチが揃うまでの待機時間(滞留時間)が発生するため、リードタイムが長くなることがある。
  • 部品が詰まった状態(仕掛かり品の増加)を生じる可能性がある。

今回の記事ではバッチ処理をassimeeで再現し、シミュレーションを行うまでを解説します。

モデル

今回のモデルでは以下の想定で作成を行いました。

  • バッチ処理を2カ所で行う(加工Aと加工C)
  • 各処理のバッチ数:3(ST1、ST2、ST3)
  • 品目(ワーク)は奥側(ST1)を優先で詰まっていく

以下が完成したモデルです。

assimeeでこのモデルを再現するには、バッチ数に対応した数の加工プロセスカード(図中でSTと表現)を用意し、各STが埋まった際に情報を発行し、バッチ分の情報が揃った時点で同期処理を実行するために情報を上流側にループで戻すように設定する必要があります。また、奥側を優先してワークを整然と配置するため、加工プロセスへ入荷するワークにタグを付与し、適切にコントロールします。作成されたモデルを確認すると通常の工程に情報処理と情報のループが追加されていることがよくわかります。

シミュレーション

モデルが完成したらシミュレーションを行います。今回はバッチ処理の結果の確認を行いやすいようにシミュレーション時間を短めの60分と設定して行いました。

A加工とC加工でバッチ処理が行われており、それぞれ3つのSTで同期した加工が行われているように見えます。詳細の確認のために、処理時間の長いC加工のステータス推移のみを拡大してみましょう。

3つのSTでの処理時間5分での加工が完全に同期して行われていることがわかります。

まとめ

今回の記事では、生産ラインで一般的に行われるバッチ処理を再現し、シミュレーションを実施する方法について解説しました。assimeeでは、今回解説したように、生産現場のさまざまな工程を再現し、シミュレーションを行うことが可能です。さらに、今回のモデルではバッチ数の変更などモデルの変更も容易に行えるため、製造ラインの効率を検討する業務を誰でも簡単に実施できます。

assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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