概要
最近ではコンビニやスーパーで売られている食品の加工を物流倉庫と一体化したセントラルキッチンで行い、各地の店舗へ配送するケースが増加しています。今回の記事ではこのようなPDC型物流倉庫内に設置された食品工場を想定したモデルを作成します。
モデルの作成
物流倉庫としてはPDCに相当するので、入荷→加工→入庫→出庫→出荷の5段階のプロセスが基本となります。今回は倉庫内で食品の下処理と調理、チルド加工と入庫、ピッキングによる出庫、バンニングと出荷を考える他、複数の食材(人参、玉葱、じゃが芋、牛肉、調味料)から、製品としてカレーと野菜炒め、肉じゃがを調理し、コンビニ、スーパー、レストランと複数の店舗へ向けた出荷を行うモデルを作成します。

図:全体モデル
今回のモデルは非常に大きくなるため、以下の4つのブロックに分けてプロセスの設置と設定の解説を行います。
入荷ブロック
入荷ブロックは入荷→置き場→検品→分岐のプロセスからなり、以下のように配置し設定します。

図:入荷ブロック
下処理ブロック
下処理ブロックは入荷ブロックの材料仕分けの後に配置します。「廃棄物」、「人参」、「玉葱」、「牛肉」、「じゃが芋」、「調味料」の5つの小ブロックに分けて作成します。モデルは以下の通りです。
廃棄物小ブロック

図:廃棄小ブロック
人参下処理小ブロック

図:人参下処理小ブロック
玉葱下処理小ブロック

図:玉葱下処理小ブロック
じゃが芋下処理小ブロック

図:じゃが芋下処理小ブロック
牛肉下処理小ブロック

図:牛肉下処理小ブロック
調味料準備小ブロック

図:調味料下処理小ブロック
調理と入庫ブロック
カレーと野菜炒め、肉じゃがの調理を行います。
下処理ブロックで用意した材料から調理を行い、検品と不良品の破棄、合格品のチルド加工と冷蔵倉庫への入庫までを想定し、組立→検品→分岐→合格品側:加工→置き場(入庫)、廃棄物側:置き場→運搬(ローラーコンベア)→出荷(破棄)のようにプロセスを配置します。
カレー調理小ブロック

図:カレー調理小ブロック
野菜炒め調理小ブロック

図:野菜炒め調理小ブロック
肉じゃが小ブロック

図:肉じゃが調理小ブロック
出庫と出荷ブロック
冷凍倉庫3箇所からのピッキングとバンニング、方向別仕分けまでを考えて、合流→組立→置き場→組立→分岐の各プロセスを図のように配置し、設定します。

図:出庫と出荷ブロック
シミュレーション
以上のプロセス配置と設定が終わったらモデルの保存を行いシミュレーションを行います。今回はシミュレーション時間を8時間にあたる480分に設定してみましょう。「累積生産推移」、「生産推移」、「ライン別生産数」、「生産割合」を選んで下図のように表示させます。

図:480分シミュレーション結果(一部出荷用コンテナのみを表示)
今回のモデルでは食材の運搬に掛かる時間やまとまった数の食材を用いて調理を行う設定としていることから、シミュレーション開始から店舗に向けてカラコンが出荷されるまでの時間が長め(約60分)となっています。*分岐や不良品発生にランダム変数が含まれるため毎回結果が異なり完全に一致はしません。
また、生産割合では最終製品のカラコンだけでなく不良品として途中の検品で弾かれ廃棄された食材や料理も含まれていることに注意してください。
まとめ
今回の記事では食材の調理や加工を行う食品工場(セントラルキッチン)が設置されたPDC型物流倉庫を再現したモデルの作成について解説しました。複数の食品の調理を行うための分岐、材料や食材の検品による不良品の選別、出荷の行先別仕分けといった実際に工場や物流倉庫内で行われる様々なプロセスを再現した巨大なモデルを作り込みました。このようにassimeeではシミュレーションをPC上で手軽に行うことが可能となっています。
assimeeでは、実際の製造プロセスをモデル化し、シミュレーションすることで、プロセスの見える化や潜在的な課題の洗い出しを行うことができます。製造プロセスのデジタル化や課題解決でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。